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そんなことを言っても、きっとAさんにはとどかない。
そう思いながら息を吐いた。
「それ本人に言えばいいのに」
「言えないですよ…だってAさん明らかに福良さんのこと好きじゃないですか」
そんな人に想いを伝えても、迷惑がられるに決まっている。
でも、この想いを伝えることができないもどかしさをどうすればいいのだろうか。
こんなにつらいなら、この想いに気づきたくなかったとさえ思い始めた。
好きな人には好きな人がいた、そんなアニメのようなことが起こるのだろうかと、自分自身で嘲笑する。
でも、寝ても覚めても彼女への想いは止まらず、ただただ大きくなっていくばかりだった。
「って思われてるらしいよ」
「えっ」
伊沢さんの声に思わず振り返った。
彼の視線の先には案の定俺の想い人の姿。
「…いつからいたんですか!?」
「わ、割と最初の方から…」
“伊沢さんも教えてくれてもいいじゃないですか!”
思わず叫んでしまった。ここまで僕の想いが筒抜けだといろいろと恥ずかしい。
「いや、あの…わ、私も志賀君と一緒だから」
「えっ」
顔を紅く染めながらいった彼女の言葉に耳を疑った。
「だ、だからえっと…」
伊沢さんは僕らに気を使ってか、その場から立ち去っていた。
「Aさん、好きです」
「わっ、私もです…!」
君に好きだといったら、振られるとばかりに思っていたよ。
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