_ymmt ページ38
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「僕も好きだよ〜」
何も起きなかったかのようにサラッと流された私の告白。
「ねぇ、ちゃんと聞いてた?」
「ん?うん、聞いてたよ?」
顔を赤くも染めない彼に、少しだけ怒りが湧いてきてしまった。
「…なんとも思わないの?」
「あぁ、Aは僕がなんとも思ってないって思ってるのか」
彼は少しだけ照れたように笑って見せた。
「だって僕、Aが僕のこと好きなのよくわかってるから」
“改めて言われるとちょっと恥ずかしいけどね”
そう続ける彼は、やっぱり私よりも1枚上手のようだった。
「…僕も好きだよ、Aのこと」
先程の間延びした返事とは違い、今度は確かに彼の声に力強さが存在していた。
「ふふ、知ってるよ」
改めて言われると恥ずかしいな、なんてさっき祥彰が言っていたセリフをそのまま思い浮かべてしまった。
「あ、じゃあもう言わなくてもいい?」
「えっ、言ってくれないの?」
キョトンとそう返すと、彼は今度は、照れたように笑みを浮かべた。
「そう言われちゃったら、言うしかないなぁ」
“Aももっと言ってね”
“えー…どうしよっかな”
笑いながらそう言い合う私たちだけど、お互いその耳には、少しだけ熱が集中していた。
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