_k-chan ページ37
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「えっ?!…えっ?!?!」
「いやそんな二度見しなくても」
顔を真っ赤にしながら私の方を振り返る彼に思わず笑ってしまった。
「なんで今?!」
「あっそこなんだ」
司法試験の過去問を開いて勉強していた彼の横顔がかっこよかったから言っただけなのに。
勉強している人の横顔って最高じゃない?
そう思うのは私だけじゃないよね。
「ふっ、普段言わないじゃん!!」
「ふと思った時に言いたいだけだよ〜」
“そのスタンスズルいよ!!”
そう言い放った彼は、リアクション王と言う名に相応しくて、思わず薬と笑ってしまった。
「…ごめん、嫌だった?」
そう問いかけると、彼は再び顔を真っ赤に染め上げた。
「い、嫌じゃないけど」
消えかかる語尾にほんの可愛さを感じながら、私はその場を立ち去ろうと彼に背を向けた。
「…もしかして、そのまま帰るつもり?」
「え、うん。だって航平、司法試験の勉強するでしょ?」
「…まぁ、するけど」
“邪魔しないから”
だいぶ前にまとめておいた荷物を肩に下げて、私はそのまま居住スペースとキッチンの間仕切りにある扉に手をかけた。
「…やだ」
「えっ?」
「だめ、もっといて」
彼は手首を優しく掴みながらそう呟いた。
「邪魔じゃないの?」
「全然。むしろAいてくれた方が嬉しい」
彼のそんな言葉に胸を高鳴らせてしまうのは、ある種の不可抗力だと思いながら、私はクスリと笑ってしまった。
「喜んで」
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