トクベツになりたかった_kwkm ページ31
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トクベツになりたかった
君が笑いかけるのは、君を幸せにするのは、俺が良かった。
そこまできついことは言わない。
それが叶えば万々歳だが、もうそれが叶わないことは、目に見えている。
でも、俺は君のトクベツになりたかった。
俺にはトクベツがなくて。
ただの同僚でしかない、なんて。
「川上さん!聞いてください!!」
「んー?」
“この前のQさまなんですけどね…”
そう言って意気揚々と語り始めた彼女をただただ見つめてしまった。
コロコロと変わる表情、生き生きとした笑顔。
その全部が、好きなんだ。
「へ〜…それでそれで?」
「えっ、伊沢さん!!いたんですか?!」
“彼氏にそれは酷くね?”
苦笑いを浮かべながらそういった伊沢さんは、俺の方を鋭い目付きで見てきた。
お手上げだ、そういう旨を伝えるために首を小さく振った。
途端、目が優しくなって、Aさんを見つめる。
…ほら、俺に入る隙間なんて存在しない。
わかっていたことだからと、頬の裏をグッと力強く噛んだ。
「この前ね、よしくんと映画行ったんだけど…」
「お前らほんとに仲良いよなぁ…」
恋人になろうなんて高望みはしないから。
だから俺を、トクベツな存在にしてくれませんか…?
ずるくて賢い恋模様_sgi→←報われない恋に終止符を_fkr
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