検索窓
今日:9 hit、昨日:19 hit、合計:78,884 hit

たとえ話をしようか_tmr ページ29

.



「A、たとえ話をしてもいい?」

「ん、いいよ。正資の話聞くの好きなんだよね」



そう言って笑みを浮かべたAは彼女の目の前にあったホットコーヒーに口をつけた。



「へぇ…そうなんだ。なんで?」

「次から次に新しくて面白い話をしてくれるじゃん」



カチャリと音を立てながら置かれたコーヒーを俺が見つめていると、彼女は“で、今日はどんな話をしてくれるの?”と頬杖を着きながら呟く。



「今日は特別面白い話じゃないよ」



俺も緊張が理由か、目の前にあったコーヒーに手をつけた。



味なんてわからなかったけど、それでも冷たいことだけは認識できた。



「そう言いながら正資の話は面白いよね」



目を輝かせる彼女に対して、一つ息を吐く。



「捉え方によっては面白いかもしれないね」



俺らしくなく、前置きとして、こんな言葉を放った。



「Aがいつも俺のくだらない話を聞いてくれるところとか」



いつもの調子と違ったからか、彼女は少しだけ目を見開く。



「俺との約束を最優先にしてくれているところとか」



目を見開いていた彼女の頬が徐々に紅く染まっていく。

…あぁもう、そんな期待させるような反応をしないでくれ。



「たとえば俺が、そんなAのことを好きになってたって言ったらどうする?」



彼女の反応を見れずに、ただひたすら、目の前にあったアイスコーヒーを見つめる。



結露しているそれは、コップの縁をつたって下に落ちていく。



「ねぇ、正資」



不意に彼女から名前を呼ばれて、そちらを見てしまった。



ニコリ、そう音がつきそうな笑みを浮かべながら彼女は俺にこう返した。



「たとえば私も、正資のことが好きだっていったらどうする?」



彼女の笑みは、幸せそうで。

幼い頃からの付き合いの俺にはすぐにわかった。



「じゃあ、たとえ話をしようか」



彼女の笑みが、より一層深くなる。



「いいよ。正資の話を聞かせて」



彼女の微笑みに、思わず俺も笑みを浮かべてしまう。



「…君が好きだ」

報われない恋に終止符を_fkr→←瞼を閉じればそこに_ymgm



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (95 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
452人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:虹希 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年2月15日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。