パーティー_QK ページ26
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「こうちゃん、ワイン開けて!」
「え、俺!?」
編集長が買ってきてくれたゴディバのケーキ、私が持ち込んできたケンタッキーのパーティーバーレル、そしてほかのライターさんで買ってきてくれたトカイのワインをはじめとするお酒もろもろ。
「Aが開けろよ、普段飲まないしあけられないのか?」
伊沢さんのこんなあおりにのっかってしまうほどには、私もテンションが上がっていたらしい。
ワインのコルクを開ける器具をもらうと、私はそれを手にした。
「サブチャンに撮っていい?」
「いいじゃんいいじゃん!」
伊沢さんのその声をきっかけに、福良さんがスマホの録画機能をオンにした。
「私さ、これ初めて見たのが高校生の時で、友達に“これなんだとおもう?”って聞かれたときにすごい変な回答したんだよね」
「え、なんて答えたの?」
「ばね」
オフィスに静寂が訪れる。
「え、ばね?」
須貝さんの言葉に頷くと、今度は一斉にみんなが吹き出した。
「ばねはあかん」
「縮まないばね」
みんなが一斉に笑い出したのを聞きながら、私はワインのコルクにそれを入れてすぐにスポンと抜く。
「…え、上手。すごい、つまんない」
「うん、だからあの話をした。」
開けたワインをみんなのグラスに注ぐと、みんながそれを持ってくれる。
「じゃあ、忘年会兼クリスマスパーティーを始めます」
Merry Christmas!!
カツンとグラス同士がぶつかる音が響いた。
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