My Precious 2【TH】

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自販機のボタンを押して、ガタン、とペットボトルが落ちてくる音が静かな路地裏に響いた。はいこれ、と甘いレモンティーを渡されて、人気のない階段に菜々花さんと2人で座り込む。


私はテヒョンさんとのことを打ち明けた。

打ち明けてからしばらく、菜々花さんは黙り込んでしまったから、私はやっぱり言わない方がよかったのだろうかと思ったのだが、次に菜々花さんから出てきた言葉はすごく意外なものだった。


「…A、頑張ってるね」
「……え」
「あんなにかっこいい人が彼氏だったら、自慢の1つくらい誰かにしたくなるでしょ？」


菜々花さんに、もう関わりたくないと言われても仕方ないと思って打ち明けたから、優しいリアクションに驚いた。


「匂わせもせず、本当にちゃんとテヒョンに迷惑かけずに行動してたんだもん。それって、簡単そうに見えて、すごい難しいよ。誰にでも出来ることじゃない」
「……菜々花さん」
「私は、昨日の電話を……ごめんね、聞いちゃったの。最近、Aがすごく可愛くなって、彼氏でも出来たのかなって思って…そしたら、テヒョンさんって言ってたから」


テヒョンも、Aのこと本当に大事にしてるんだね。菜々花さんのその言葉に、え、と声が漏れた。そんな私を見て、菜々花さんがふふふと笑う。


「最近のテヒョン、日本語めちゃくちゃ上手になったって話題なんだよ？絶対Aのおかげだよね？」
「そ、そんなことないです…！」


「それに、去年から今年にかけてすごく忙しいスケジュールだったから、テヒョンかなりトゲトゲしてるというか、精神的に不安定そうだったんだけど、ここ最近はすごく落ち着いてるし、楽しそうだし、テヒョン本来の魅力が戻ってきた感じがあってね」
「……」



「全部、きっとテヒョンが、Aから貰ってるんだね」


優しすぎる言葉に、また涙が零れそうになる。菜々花さんが、こら、泣かないで！と私にティッシュを投げつけた。


「テヒョンの魅力、引き出してくれるような人のこと否定する訳ないよ」
「っ、菜々花さん…」




「私は、テヒョンだってジミンちゃんだってみんな人間だし、恋愛もするんだろうなって思ってたから。…変な女に捕まったら最悪とは思ってたけど。テヒョンがAのことを選んだの、なんでだか分かる気がするし、文句もないよ」

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