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大学の新学期の忙しさとバイトに追われていたら、あっという間にやって来た握手会当日。テヒョンさんに貰ったチケットを握り締めて、会場前で着きましたよ、とカトクを送ると、10秒もしないうちに、テヒョンさんからスタンプが大量に送られてきた。
「ふふ、いつもよりテンション高いな」
楽しませるからね!というテヒョンさんのメッセージにスタンプを送り返して携帯を仕舞う。まだ時間に余裕があるけど、入場しちゃおうかな。そう思って足を進めようとした時に、ぱし、と腕を掴まれた。
「……A!なんでここに居るの」
「菜々花さん…!」
やばい、どうしよう。それだけが脳内を占拠する。今回の握手会は、ファンクラブの会員の人じゃないとチケットを持っていない筈で、私がテヒョンさんのことを知る前にチケットの申し込みは終わっている。つまり、菜々花さんからしてみれば、私がここに居るのは有り得ない訳で…。
菜々花さんには勿論、テヒョンさんとのことは内緒にしていた訳だし、バレたらまずいということも分かっている。菜々花さんは海外まで高いカメラを持ってジミンさんを追いかける、テヒョンさん曰く''マスター''という存在。
そんな人にバレたら…。
「A、ちょっとこっち来て。」
私の腕を引いて、菜々花さんは会場から離れる方へずんずん進んでいく。
「拗らせすぎたオタクの幻想かなって思ってたんだけど…」
「っ、…」
「A、メンバーの誰かと、繋がってる?」
人の気配のない裏路地で、じっと私の目を見てくる菜々花さん。
「私の勘が当たってれば…テヒョン?」
真っ直ぐ過ぎる視線に、どくどくと心臓がうるさく鳴る。どうしよう。テヒョンさんに迷惑をかけてしまったら。テヒョンさんの活動、一番に応援したいのに。こんな時ほど、タイミングというのはばっちりハマるもので、携帯が着信を知らせて震えた。
「…すみません」
着信表示を確認すると、「テヒョンさん」の文字。なんで、このタイミングで…!泣きそうになりながら菜々花さんの顔を伺うと、とりあえず出なよと言われた。絶対に名前も見られてしまったし、もう隠し通せる自信が無い。上手い嘘が思いつかない。
震える手で、通話のボタンを押して、菜々花さんから少し距離を取った。
『もしもし、Aーー?楽しみすぎて、電話しちゃった!』
なんで今なの、テヒョンさん。
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るめ(プロフ) - ジャスミンさん» ジャスミンさん、すごくすごく嬉しいコメントをありがとうございます…!テヒョンの持つふわふわしていて優しい雰囲気で幸せなお話を書きたいと思っていたのでそう言って頂けるとすごく嬉しいです^^!これからもお暇な際にぜひお付き合い下さい! (2019年10月14日 1時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
ジャスミン(プロフ) - なんかもう、ずっとずっとこのお話の2人を読んでいたいし 幸せ気持ちになるし何度も何度も読み返しました(;_;) 癒しをありがとうございます更新楽しみにしてます。るめさんの文章力、文才、表現力に乾杯(;_;) (2019年9月28日 2時) (レス) id: a2850f3adc (このIDを非表示/違反報告)
るめ(プロフ) - 千晃さん» 千晃さん、そう言って頂けてすごくすごく嬉しいです^^* まだ少しこの2人のその後のお話は続いて行きますので、よければお付き合いください!コメントありがとうございました! (2019年6月19日 20時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
千晃(プロフ) - もっとこのお話読んでたいです!!続きも楽しみにしてます!!!!! (2019年6月17日 17時) (レス) id: 541a949c76 (このIDを非表示/違反報告)
るめ(プロフ) - ねおさん» ありがとうございますーー!!そう言って頂けるのが一番の更新の励みになります!コメントありがとうございました。これからもお暇な時間に読んでやってください♪ (2019年6月14日 2時) (レス) id: c680f383ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るめ | 作成日時:2019年5月15日 1時