My Precious 2【TH】

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菜々花さんは、

「ジョングクはね、生意気なところもあるけどほんと〜〜に努力家でいい子。ジョングク嫌いな人間なんていないよ」



なんて言っていたけど、ひとつも当てはまってない。あ、１個あった。生意気なところはめちゃめちゃ合ってる。


初対面でこんな失礼な人いる？ストイックって聞いてたけど、それ以外のところは甘やかされて生きてきたの？


私は、好きになれないタイプだ。



ムカつくジョングクさんのフードの中の綺麗な顔を睨みつけていたところで、やっと周りからチラチラ見られていることに気がついた。

二人とも身長が高いから、こんな駅前で向かい合っていると嫌でも目立つ。

ジョングクさんだってバレたらテヒョンさんにも迷惑がかかるし、痴話喧嘩と勘違いされたらたまったもんじゃない。



【目立ちます。帰ってください！】


翻訳アプリに入力した文章をジョングクさんに見せると、はあ、とため息を吐かれた。ため息を吐きたいのはこっちだよ、本当に。


そして、ジョングクさんが見せてきた文章に私は固まった。



【お前が自分のこと悪いって認めるまで帰らない】



は…？何言ってんだこいつ？イケメンだからって限度があるぞ。テヒョンさんも四次元なところあるなって思ったけど、この人も違うベクトルにやばい。疲れてるのかな？


【私は帰ります。さようなら】


帰らないなら勝手にしてくれ。私はジョングクさんを置いて帰ります。そう思ってジョングクさんに掴まれた腕を振り払うと、その腕に、ぽた、と水滴が落ちてきた。


「……え」


一粒だけ落ちてきた水滴はどんどん数を増して、私とジョングクさんを濡らしていく。



ザー、と辺りに響く音。


最悪だ、今日雨が降るなんて、聞いてない。




かなり勢いよく降ってきているものの、傘もない。


駅前にはカフェがあるけど、お店に入ってジョングクさんが気づかれたらそれこそ大変だ。そうなってくると、私の頭の中に浮かんだ選択肢は一つしかなかった。



…正直こんな失礼な人を雨から守るのは気に食わない。でも、人助けだ！仕方ない！





「走って！」



こうなったらもう、勢いでどうにかするしかない。



ジョングクさんの腕を掴んで、私たちはそのまま雨の中を走った。

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