HJ:たった一日 ページ9
.
HN「じゃあヒョンジナよろしく〜」
その言葉で見送られた俺は一人寂しくカフェに向かう。メンバーで遊びに行ったはいいものの今日の目当てのカフェは案外人が多くて。
テイクアウトにしようか、じゃあ!カイバイボ!……ってなって一人負け。
さっさと買って帰ろう、と2人並んでいる後ろについた。
自分の番が来るまで、スマホでも見て待ってよう。そう思った矢先、
『いらっしゃいませ、ご注文お伺いします』
その声に、思わず顔を上げた。
綺麗で優しい声。
『ありがとうございます。それではこちらの番号札を持ってお待ちください』
ありがとうございました、とお客に微笑む彼女は、正直、凄く可愛くて綺麗で。
『お次のお客様、どうぞー?』
呼ばれていてもしばらく動けなくて、ハッとして慌ててレジに向かう。
『いらっしゃいませ。店内をご利用ですか?』
HJ「ああ……テイクアウトで」
『テイクアウトですね、かしこまりました。ご注文の方お伺いします』
HJ「あーっと……これとこれと……あと、クーポンの……」
『クーポンですね、失礼ですがアプリ画面の方確認させて頂いてもよろしいですか?』
差し出したスマホに、彼女の指が触れる。
慣れた動きでクーポンを利用済みにして、スっと指が離れた。
『それでは、こちらの番号札を持って少々お待ちください。ありがとうございました』
HJ「……あの!」
もう終わる、そう思ったら今日初めて俺から声を出した。
HJ「駐車場に車を停めてて……そこまで持つの手伝ってもらえたりしますか」
無理か、というか無茶ぶりだな。
と感じたのもつかの間、彼女は嫌な顔一つせずにまた微笑んでくれた。
『はい!大丈夫ですよ、少しお待ちください』
そう言われて指定の場所で待つこと5分程。
『お待たせいたしました、』
と言って現れた彼女の手には2つの袋があった。本当に何の疑いもなく持ってくれるんだな、と思いながら重そうな飲み物の方を受け取った。
何を話そうか悩んでいると、
『お客様、当店の御利用は初めてですか?』
そう微笑みながら話しかけてくれた。
HJ「はい。初めてです」
『ありがとうございます、また是非いらして下さいね』
あっという間に車付近まで着いて、お礼を言いながら彼女の袋を受け取る。
HJ「はい、絶対また来ます。Aさん」
名札に書かれているその名前を、呼んでみた。
彼女は一瞬驚いたけど、すぐにまた微笑んでくれた。
たった一日だけど、忘れられない人が出来た瞬間だった。
286人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るぇもん(プロフ) - 細かくて申し訳ないのですがジソナではなくジソンアだと思います… (2022年7月12日 21時) (レス) @page22 id: 32736c39e3 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» ほんとですかまたまたお世辞がお上手なんだから、、、ちゃんと神作にできるように頑張ります、、! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - いちごだいふくlikeさん» プロフィール見ました!!プロフィールから漂う神のようなお話の予感…更新頑張ってください!! (2021年1月29日 22時) (レス) id: 1943299eac (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 1.0神無月さん» うわああ嬉しいお言葉本当にありがとうございます!!私自身まだ書けていないメンバーもいるので続き作ろうかな、と悩んでいたので嬉しいです!長編の方もありがとうございます!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» お待たせしました!!!取り急ぎ開設したのでよければぜひお読みください!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あすてい | 作成日時:2020年12月7日 15時