迷えるあなたに ｰStrayKidsｰ

HN:タイムリミット ページ6

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『おはようございま〜す』

生徒会執行部の人たちが校門前に並んで、全校生徒に挨拶する。よくある、普通の生徒会の活動。
……まあ私も部員ではあるんだけど、じゃんけんで見事に一人勝ちしたので今日はいつも通りゆっくり登校させてもらってる。

同じ部員の子にジト目を向けられるのを笑ってかわしながら歩いていると、ドン、と目の前の人にぶつかってしまった。

『あっすみません！って』
HN｢はーあ、一人勝ちして優雅に登校してるAくん。前を見て歩きましょうねー？｣
『……ジソン部長……おはようございます……』

生徒会執行部長、イコールこの学園の生徒会長であるハンジソン先輩。ノリが良くて面白いと有名だし、柔軟な考え方が出来て先生からの信頼も厚い。オマケに顔もくりくりしたおめめに通った鼻筋、食べてるときのほっぺたはぷくーって膨らんでワラビーみたい！！とイケメンかつ可愛いと女子からの人気も高い。

……っていうカリスマ生徒会長と私は、まあ普通に仲のいい先輩と後輩っていう関係だ。

悔しいことに。

HN｢その『はーあまたこいつかよ』みたいな態度はいけませんねー校則違反ですよー｣
『そんなこと思ってませんしそんな校則もありませんねー？』
HN｢けど俺たちが朝からこうやって挨拶運動してるのは、皆が一日を明るく始められるようにっていう理由なのは部員のAちゃんは勿論知ってるはずだけどなあ？それなのにそんな態度取っちゃうんだ？｣

そう言って私の顔を覗き込んでくるジソン部長に、私はもう平然とするのに必死。
部長は、先輩は、私の事をただの部員で、後輩だとしか思ってないから。そんな事出来ちゃうんだ。

『はいはい、生徒会長さんお〜〜はよ〜〜うございま〜〜〜す！！！』

ぐいっと顔を近づけて挨拶。なんか悔しいから、ちょっとした仕返しだ。
すると部長も流石に予想外だったのか、｢え、｣と言って固まった。

ふふん、これには多少驚いただろ……

そう自慢げに見ようとしたら、何故か、ほんのり顔を赤くした部長がいて。

なんで。

『……ふっ、あははは！何て顔してるんですか部長！せっかくのワラビーフェイスが台無しですよー？』

焦った。慌てて取り繕ったけど、違和感は無かったみたいだし、部長ももういつも通りに戻っていた。

ねえ、部長。
部長は、三年生だから、もうタイムリミットがあと少しなんです。
だから少し、頑張らせてください。
こんな時間を過ごしたいし、こんな時間だけじゃ終わりたくないから。

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