迷えるあなたに ｰStrayKidsｰ

ALL:迷えるあなたに ページ48

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『ねえ皆ーちょっと聞いてよー』

呼びかけても声は返ってこない。
そんなことは、分かってる。

『皆にね、ちょうどいい名前考えたんだよ』

だって私が話しかけているのは写真だから。
幼い頃に、当時よく遊んでいた男の子たちと、たまたまそのときオーストラリアから旅行に来ていた男の子たちと一緒に、一日限りのメンバーで遊んだときの写真。

それは、十数年経った今でも覚えているくらい、楽しい記憶。

『皆もう高校もバラバラになったし、君と君に関しては、はるばるオーストラリアから来てたからもう全っ然会えないんだけどさー？』

写真の中の男の子を指さしながら、私は今日も懲りずに話しかける。
別に連絡を取ろうと思えば取れる人もいるけど、皆忙しいだろうし、何より時間があまりに空きすぎてどう連絡していいかも分からない。

『っていうかね、この間全員の名前まだ言えるかなーって考えてたらね、ちょっと忘れかけてた！いやあ危なかったなあ、やっぱり定期的にこうやって呼びかけないとね』

口ではそう言ったけど、きっとこの先もこの愛しい写真がある限り、忘れることはないんだろう。

バンチャン、リノ、チャンビン、ヒョンジン、ハン、フィリックス、スンミン、アイエン。

本名じゃない人もいたはずだけど、本人に呼んで欲しいと言われた呼び方はこれだった。

『皆今何してるの？私はねー、最近ダンス始めたんだ！かっこいいから！』

この写真に写っている人の中で、最後に連絡を取った人が確かダンスを始めたと言っていた。かなり前の事だけど、その言葉を思い出して自分も始めてみることにした。ダンスをしていれば会えるかもしれないから。本当の理由はこれだけど、どうも気恥ずかしくて声には出せない。

『あ、自分から言っといて忘れてたね。皆に名前つけたんだ！1人ずつじゃないよ、8人にだけどね』

ちなみに、その名前の中に私は今のところ入っていない。
きっとここに写っている中で誰よりもこの写真を大事にしている私は、次に会ったらカメラマンが相応しいから。

『え？早く教えろって？しょうがないなあ、結構かっこいいんだからね？』

だから、もしまた会える日がくるのなら。

『______“ StrayKids ”』

私は、皆のことをこう呼ぼうと決めている。



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迷えるあなたに。

ご愛読ありがとうございました。

↓6/22 更新

これでもう迷わない【StrayKids】

短編集第2弾です。

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