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『会えない……?なんで』
FL「チャニヒョン、さっき連絡してたときに体調が悪くなってきたって言ってたから。だってそうでもなきゃ、ヒョンはランニングに行く僕に頼んだりせずに自分で必死にAを探すでしょ?」
『た、しか、に……』
FL「そう。だから今は、ヒョンには会えない。落ち着いてヒョンに会ったらなんて言うか考えようよ」
そう話すリクスは___どこか、いつもと違う。
いつもキラキラしていた純粋な目をしていなくて、暗くて、怖い。
『……リクス……?なんか今日、変だよ、』
FL「そう?【これが】いつも通りの僕だと思うよ」
『……え?』
含みのある言い方に、訳もなく鳥肌が立つ。
黒く澱んだ目が、真っ直ぐ私を見つめてくる。
FL「チャニヒョンは今眠ってる。多分しばらく起きないよ。明日の朝になっても」
『待って……待って、なんでそんなこと、』
FL「ん?ああ、Aのことならもっともっと知ってるよ。
Aは家に着いたらまずカバンを置いてベッドに飛び込むよね。そこで身体を伸ばしてから、服を脱いで家着に着替える。それからリビングで家族の皆と過ごして、ハマってるネット小説読むよね。あと最近はアロマオイル使うのもハマってるでしょ、オレンジの香りのやつ。引き出しの2段目に入れてるよね」
スラスラと出てくる情報に、言葉も出なかった。
私とリクスは幼馴染。
それ以上でも、それ以下でもない。
それなのに。
どうしてそんな、家族すら把握していないような私の事を知ってるの。
『リ、クス…………』
FL「A。僕達、幼馴染なんだよね」
『そうだよ、私とリクスは幼馴染、今までもこれからも、私はそのままでいたい、』
FL「僕は」
キィ、とブランコが衝撃で軋む。
私の小さな悲鳴は、きっとその音で掻き消えた。
FL「幼馴染なんて嫌だ。今日まで誰よりもAの横にいたのは僕なのに、なんでAが愛し合って将来を思い描くのは僕じゃないの?これまでもこれからも隣に僕がいるのなら、その僕とAの関係は幼馴染なんかじゃ弱すぎるよ」
ブランコの鎖を握りしめるリクスの拳は、強く強く力が込められていて。
ああ、これはもう、遅いんだ。
そう感じるのに時間はかからなかった。
オッパ、オッパの言いたかったのはこういうことだったんだね。
ごめんなさい、あのとき冷静になれていなくて。
FL「A。その感じだと、もう分かったよね」
目の前で微笑むリクスは、もう幼馴染じゃない。
FL「さあ」
狂人だ。
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るぇもん(プロフ) - 細かくて申し訳ないのですがジソナではなくジソンアだと思います… (2022年7月12日 21時) (レス) @page22 id: 32736c39e3 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» ほんとですかまたまたお世辞がお上手なんだから、、、ちゃんと神作にできるように頑張ります、、! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - いちごだいふくlikeさん» プロフィール見ました!!プロフィールから漂う神のようなお話の予感…更新頑張ってください!! (2021年1月29日 22時) (レス) id: 1943299eac (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 1.0神無月さん» うわああ嬉しいお言葉本当にありがとうございます!!私自身まだ書けていないメンバーもいるので続き作ろうかな、と悩んでいたので嬉しいです!長編の方もありがとうございます!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» お待たせしました!!!取り急ぎ開設したのでよければぜひお読みください!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あすてい | 作成日時:2020年12月7日 15時