HJ&HN:黒幕 ページ40
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気の所為だって、言い聞かせていた。
後ろから聞こえる足音なんてない、あったとしてもただ普通に歩いている人の音でしかないし、私に合わせているなんて事は無い。
ストーカーだ、なんて言ってから何でもないことが分かったら恥ずかしさでしばらく外を歩けないだろうし、自意識過剰になるのが怖くて結局初めて違和感を感じた日から二週間経った今も、誰に話すことも無く1人で歩いている。
今はバイト先が忙しい時期だけど、落ち着いたら夜終わりじゃなくていっそ深夜からのシフトに入ろうかな、と考えていた、その時だった。
「ねえ」
知らない人の声がかかる、と同時に左腕を掴まれた。
瞬間、もう何も考えられなくなる。
「ずっと……見てたよ」
左腕を引き寄せられて、距離が縮まった。
そこでようやく、頭が動いた。
『っ、やめてください、!』
突き飛ばして、走った。
逃げなきゃ。離れなきゃ。
声はさっき出したのが精一杯で、恐怖で引きつった喉で叫ぶなんて出来なくて。
後ろを振り返る事も怖くて出来ないけど、それでもまだ後ろにいる気がして、とにかく警察に駆け込もうと足と腕だけを動かした。
最寄りの警察はそんなに遠くなかったはず……
「あれ、お姉さん。そんなに走ってどうしたんですか?」
また声をかけられた、けれど違う人だったのと何よりも、
『あっ……け、いさつの方、ですか……?』
警官服を着ていた男性だったのを確認した瞬間、一気に安心してしまって、慌ててその人の元へ駆け寄った。
「そうです。大丈夫ですか?とにかく落ち着いて」
『……すみません……』
「少し、そこのベンチに座ってください。落ち着いてから事情を話してくれればいいから、」
そう言われて、すぐ近くの小さな公園のベンチに促され、座って息を整えていたら警官の方がカバンからペットボトルの水をわざわざキャップを緩めてから差し出してくれた。
「ほら、新品なので大丈夫ですよ」
『ありがとうございます……』
にっこり微笑む警官の方に、お礼を言いながら水を一気に飲む。冷たい水が食道を通っていく感覚でようやく少し冷静になれた気がした。
(続きます)
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るぇもん(プロフ) - 細かくて申し訳ないのですがジソナではなくジソンアだと思います… (2022年7月12日 21時) (レス) @page22 id: 32736c39e3 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» ほんとですかまたまたお世辞がお上手なんだから、、、ちゃんと神作にできるように頑張ります、、! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - いちごだいふくlikeさん» プロフィール見ました!!プロフィールから漂う神のようなお話の予感…更新頑張ってください!! (2021年1月29日 22時) (レス) id: 1943299eac (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 1.0神無月さん» うわああ嬉しいお言葉本当にありがとうございます!!私自身まだ書けていないメンバーもいるので続き作ろうかな、と悩んでいたので嬉しいです!長編の方もありがとうございます!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» お待たせしました!!!取り急ぎ開設したのでよければぜひお読みください!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あすてい | 作成日時:2020年12月7日 15時