. ページ32
LK｢……そういえば。吸血って、吸われる側はだんだん感覚が快楽に変わっていくんだったっけ｣
HN｢そっか。今まで意識のない人ばっかり吸ってたから忘れてた……｣
いや先言っといてよ、という気力はもうない。
感じたことのない感覚が2つも立て続けにきた心労は大きすぎて、へなへなとその場にしゃがみ込んだまま動けない。
LK｢……ねえ、Aちゃん｣
そんな状態の私に、リノさんが近づいてきた。
LK｢さっきまで、このまま人として戻るか、吸血鬼として生きるかの2択で悩んでたよね｣
『……はい』
LK｢でも実は【もう一つ】ある｣
HN｢っ、リノヒョン！？本気なの！？｣
もう一つ。
そう言った瞬間、ジソンさんが焦り出す。
何だろう、私の身が危険なことなんだろうか。
そんな生半可な考えは、次の一言で消えた。
LK｢俺達とAちゃんが契約を結ぶ、ってこと。
契約が成立した吸血鬼は、一緒に契約した人間の血しか吸えなくなる。
契約した人間は、血が無くならない不死身になって、契約した吸血鬼に一生血を吸われ続ける｣
『それって……』
LK｢人間の身体だけど吸血鬼との関係は途切れない。そういう事だね｣
それを聞いて、口を噤んでしまった。
吸血鬼と契約する人間。体質が特殊な人間になって、これからもずっと血を吸われ続けて、生き続ける。
HN｢……Aちゃん、この契約は、残酷なんだ。Aちゃんはこれからも俺達と過ごさなきゃいけないし、人間だけど不死身の身体を持つことになるから、周りが皆先立っても自分は独りで生き続ける……｣
LK｢まあ、だから周りの人がいなくなった頃合で俺達と一緒に来ることになるね｣
HN｢Aちゃんは、そんな未来でもいいの……？｣
不安げに話すジソンさんの瞳から目を逸らす。
頭に浮かぶ三つの選択肢を一つ一つ真剣に考えてみるけど、正直もう、どれを選んでも完全な日常は戻ってこない気がした。
だから。
『……いいです』
決めた。
『契約、私はしてもいいです』
HN｢っ！｣
LK｢分かった。……ジソナ、｣
HN｢……もー、リノヒョンはいつも急だからなあ。いいよ。俺は大丈夫｣
真っ直ぐ前を向いたリノさんが、近くの蝋燭の火を吹き消した。
LK｢じゃあ、誓おう。もう二度と、離れないことを｣
そして、私は、人間としての生を、この手で手放した。
･
･
･
ん〜書きたかった5倍ダークな感じになりましたなんでだ〜〜
これ設定とか謎にめちゃくちゃ考えたのでもしかしたら長編として出すかもです
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 286人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るぇもん(プロフ) - 細かくて申し訳ないのですがジソナではなくジソンアだと思います… (2022年7月12日 21時) (
レス) @page22 id: 32736c39e3 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» ほんとですかまたまたお世辞がお上手なんだから、、、ちゃんと神作にできるように頑張ります、、！ (2021年1月30日 19時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - いちごだいふくlikeさん» プロフィール見ました！！プロフィールから漂う神のようなお話の予感…更新頑張ってください！！ (2021年1月29日 22時) (レス) id: 1943299eac (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 1.0神無月さん» うわああ嬉しいお言葉本当にありがとうございます！！私自身まだ書けていないメンバーもいるので続き作ろうかな、と悩んでいたので嬉しいです！長編の方もありがとうございます！！ (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» お待たせしました！！！取り急ぎ開設したのでよければぜひお読みください！！ (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あすてい | 作成日時：2020年12月7日 15時
