. ページ31
『待って、』
その言葉にリノさんがゆっくりこっちを見る。
『血、吸ってもいいですよ』
HN「え……?」
『今の私は、正直もうキャパオーバーして冷静な判断なんて出来ないですし。これだけ血を流してる私を無理やり血を吸わずにずっと話をして下さってたんだなって分かったので……』
LK「そう、それでいいの?
Aちゃん」
『っえ、何で名前知って、』
LK「こんなの魔法じゃないし、俺が人間でも分かるよ。
じゃあAちゃん、もう俺吸うから。初めだけ我慢して…」
肩に手を乗せて、ぐっと力を入れられる。
よく分からないけどとりあえず目をつぶる。
何かが首筋に当たったのが分かった瞬間、
『いっ……!!!』
首筋に鋭い痛みが走って、牙らしきものが入ってくるのが分かる。痛いとは聞いてたけど注射なんかと比べ物にならなくて、あまりの痛さに勝手に涙が出てくる。
LK「んっ……」
『っ、あ……!』
いよいよ血を吸い始めたみたいで、鋭い痛みに混じってリノさんが喉を鳴らすのが聞こえる度に確かに血の気が引いていく。うわあ、これ長く続けられたら倒れそうだな。
LK「っは……Aちゃん、よく今まで吸血鬼に噛まれなかったね」
『……?』
LK「これは、俺達にしか分からないけど。
すっごい美味しいよ、Aちゃんの血」
『おいしいとか、あるんですね……』
まだ身体が慣れてなくて、まだ少しふわふわした気分で話す。気持ち悪いわけではないけど、体に力が入らない。
LK「ほら、ジソナも飲んだら?」
HN「……Aちゃん。いいかな」
『どうぞ……』
もう一人も二人も同じだよ……と思ったので大人しく首を差し出す。遠慮がちに肩に置かれた手に優しさを感じながら、また独特な感覚に耐えようとした、瞬間。
HN「ん……」
『いっ……!?や、ちょ…まって…!』
なんで。どうして。
痛みがしたところまではさっきと一緒だったのに、吸われ始めた瞬間から急に違う感覚に襲われる。なんというか、気持ちいいというか。
『あっ……ま、って、なにこれ……っ』
HN「っはあ……やばい、どうしよう。久しぶりの血だからってのもあるけど、すごい……」
LK「ね?めちゃくちゃいいでしょ?」
なんで血吸われてこんな感じになるの?ともう頭がパンクしそうになったところで解放された。だめだ、もうおかしくなる。
(続きます)
286人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るぇもん(プロフ) - 細かくて申し訳ないのですがジソナではなくジソンアだと思います… (2022年7月12日 21時) (レス) @page22 id: 32736c39e3 (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» ほんとですかまたまたお世辞がお上手なんだから、、、ちゃんと神作にできるように頑張ります、、! (2021年1月30日 19時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
サラ(プロフ) - いちごだいふくlikeさん» プロフィール見ました!!プロフィールから漂う神のようなお話の予感…更新頑張ってください!! (2021年1月29日 22時) (レス) id: 1943299eac (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - 1.0神無月さん» うわああ嬉しいお言葉本当にありがとうございます!!私自身まだ書けていないメンバーもいるので続き作ろうかな、と悩んでいたので嬉しいです!長編の方もありがとうございます!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
いちごだいふくlike(プロフ) - サラさん» お待たせしました!!!取り急ぎ開設したのでよければぜひお読みください!! (2021年1月29日 21時) (レス) id: 851fdc26ff (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あすてい | 作成日時:2020年12月7日 15時