9日目 ページ10
「フロイド、痛い…。離して、」
「ヤダ。クラゲちゃんが理由話さないんなら、オレも絶対手ェ離さない」
「…でも、、」
「でもってなに?いーじゃん。なんで教えてくれねーの?」
「だって…」
『練習して、自由に走れるようになって…せめて不自由なく歩けるようにくらいはなって、フロイド達を驚かせたい』
しかし、これを言ってしまっては元も子もない。説明出来ずに口ごもる。
「オレに話せねーことなの?」
「そうじゃないけど、、後で話すから…お願い」
「……」
Aの言葉にゆっくりと、Aの腕を掴んでいたフロイドの手の力が抜けていく。そのまま、その手はAの頭へ伸びていき、ポンっと撫でた。
「クラゲちゃんってちょーワガママ」
「ごめ、ッいっ…ッ」
かぷり。謝るAの肩を引き寄せ、フロイドは彼女の首筋に噛み付いた。白くて柔らかな肌に歯を立てると、海の中を自由に泳いでいたあの頃を思い出す。けれど、強くしすぎないように。血の匂いは、他の奴らの狩猟本能まで駆り立ててしまうから。彼女の匂いはオレにだけ分かるようにしておけばいい。
「フロイ、ド…?」
突然噛み付かれて困惑するAの首筋を見れば、赤く歯型がついている。ゾクッと背徳感のようなものが背中を走った。思わず目を細めて笑んでしまう。
「かわいーね、クラゲちゃん」
こちらを見上げるAをギューッと抱き締めた。Aは小さくて、抱き締めればすぐに壊れてしまいそう。それなのになんだか今は力の加減が上手くいかない。ギュウギュウ締めつければ、彼女はオレの中でキュウっと小さくなっていく。
「…う、、フロイド、苦しい、、」
Aの苦しそうな声にハッとして腕の力を緩めた。少し頬が赤くなっている。思ったより強く抱き締めすぎたようだ。取り繕うようにAの少し乱れた襟元を軽く正してやると、彼女は小首を傾げた。その仕草のせいで目につく歯型。その様子にまたフロイドの口元には笑みが広がっていく。
「外、行かねーの?クラゲちゃん。理由は知らねーけど、すんでしょ?走り込み」
「あっ、え、うん、、行ってくるね」
Aの頭には疑問符が浮かんだまま。それでも機嫌の直ったフロイドに見送られ、彼女は廊下をヨタヨタと駆けて行った。
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あいむ(プロフ) - ラムさん» コメントありがとうございます〜!!ご期待に応えられるように頑張りますm(_ _)m (2020年5月16日 23時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年5月13日 21時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 面白い (2020年5月13日 16時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - なづななさん» コメントありがとうございます!!にやけられるものになっていて安心しました(?)ラギーとトレイ先輩いいですよね。。ラギーは可愛いし、トレイ先輩はあの優しげな感じなのにしっかりヴィランって所が最高です...。ありがとうございます!頑張ります!! (2020年4月28日 17時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
なづなな - とっても面白いです!フロイドが大好きなので、にやけながら読ませて頂いてます。あとはラギー君とトレイ先輩も好きです!体調などに気を付けてこれからも頑張って下さい!応援していますっ! (2020年4月26日 0時) (レス) id: c89830493e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいむ | 作成日時:2020年3月23日 0時