33日目 ページ35
「くーらーげーちゃーんー」
「なに、?」
「オレ、今ちょー不機嫌」
「うん」
「オレの機嫌直してくんね」
「えぇ…」
ぎゅうと小さな体を抱きしめたまま購買に向かうフロイド。Aは上から降ってくる無理難題に顔を顰めて、うーんと考えた。
「どうしてそんなに不機嫌なの?この服のせい?」
「そーだよ。分かんだろ」
「んー、フロイドは私のこの服、ヤダ?」
「ヤダ」
「…そっかぁ…私は結構、好きだけどなぁ…」
バッサリ。フロイドの至極短い否定の言葉にグサッと何かが心臓に刺さった、気がした。似合ってないって事だろうか。それは流石に…ちょっと、傷付く。じくじく胸の中が鈍く痛い。体の前でフロイドに繋がれてる手が冷たくなったように感じた。
そのまま黙る事、1分。サイドストーリートを抜けたものだから、遠くに賑やかな声が聞こえるだけで沈黙がなんとなく気まづい。そう感じているのは自分だけなのかな、なんて思いつつもフロイドに上から抱きしめられているため、彼の顔は全然見えなかった。
2人分の足音が響く。ふと、フロイドがはぁとため息をついた。
「…かわいーとは思うけどさァ、変な虫がつくじゃん…」
「え?」
「その服着たクラゲちゃんは、オレだけ見れればいーじゃん…」
彼にしては小さい声だった。ポソポソといじけるように、けれどそれとは反対に体を抱きしめる力は段々と強くなっていく。
「…フロイド、それってもしかして、ヤキモチ…?」
「…知らね」
投げやりな答えに、Aの顔は少しずつ緩み始めた。ふふ、…ふふふ、と次第に笑みが溢れ始めて、最終的には、あははと声を上げて笑ってしまった。すると、ギュウギュウと体が絞められた。次第に笑いが悲鳴に変わっていく。
「っ、いたッ、いたいフロイド」
「クラゲちゃんが悪い」
ガブリ。Aの項にフロイドが噛み付いた。キャッとさらに鋭い悲鳴がAの口から飛び出た。赤く並んだ円にニンマリと笑うと、ゆっくりAを離す。痛い…と節々を伸ばしたり、首を摩ったりするAをマジマジと見つめてフロイドは、かわい、と呟いた。
「よーしじゃあ早くウミウシ君とこ行こ」
「ん、」
2人、今度は横に並んで歩き出した。
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あいむ(プロフ) - ラムさん» コメントありがとうございます〜!!ご期待に応えられるように頑張りますm(_ _)m (2020年5月16日 23時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 続きが気になる (2020年5月13日 21時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
ラム - 面白い (2020年5月13日 16時) (レス) id: 9e05ed3410 (このIDを非表示/違反報告)
あいむ(プロフ) - なづななさん» コメントありがとうございます!!にやけられるものになっていて安心しました(?)ラギーとトレイ先輩いいですよね。。ラギーは可愛いし、トレイ先輩はあの優しげな感じなのにしっかりヴィランって所が最高です...。ありがとうございます!頑張ります!! (2020年4月28日 17時) (レス) id: a7e56997c8 (このIDを非表示/違反報告)
なづなな - とっても面白いです!フロイドが大好きなので、にやけながら読ませて頂いてます。あとはラギー君とトレイ先輩も好きです!体調などに気を付けてこれからも頑張って下さい!応援していますっ! (2020年4月26日 0時) (レス) id: c89830493e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あいむ | 作成日時:2020年3月23日 0時