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突っ込みを入れる暇もなく、
部屋から慌ただしく出て行くモトキを呆然と見送る。
先ほどの発言はさすがにダメだと思う。
「…モトキ暴走しすぎだね」
「ん、作るか?」
余裕な感じで軽く誘うマサイもダメだと思う。
「フィッシャーズといる時は風紀を守りましょう」
付き合う前から決めていた、わたしたちのルールだ。
「冗談だって」とマサイが笑う。
その笑顔にちょっとぐらいならいいかな?と
ルールを緩めてしまいそうになる。
「Aはまだ眠そうだし、夕飯まで少し寝るか?」
「うん、ごめん…起こしてくれる?」
睡眠不足で運動したせいか、まぶたが少し重い。
「おう。でも寝るのはAの部屋で」
「なんで?」
「そろそろぺけが戻ってくるから」
「別に大丈夫だよ?」
「…俺以外の前で寝顔は見せないで欲しい
まぁ、モトキは兄だからいいんだけど」
マサイの独占欲からの真面目な口調と表情が変な気分にさせる。
風紀を守る、風紀を守る、風紀を守る
自分に言い聞かせないと押し倒してしまいそうだ。
「…なんか変なこと考えてるだろ?」
…最近わたしのことを理解しすぎだと思う。
「行くぞ」とマサイに手を引かれ、
眠気と戦いながら歩き、わたしの部屋に着く。
「起きるまで一緒にいて」
「女子部屋に入っていいのか?」
「いじわる」
マサイが笑いながら部屋に入り、
サイドテーブルに置いたわたしのノートパソコンを持ち上げる。
「Aが寝てる間にそっちの班の動画チェックしておくって名目な」
それならルール違反にはならないだろう。
「あー…全力で遊んでるけど引かないでね」
ベッドに横になると、その隣にマサイが腰掛ける。
「そんなんで引かないって、おやすみ」
早く寝ろと言わんばかりに瞼にキスを落とされ
幸せな気持ちのまま、微睡む
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作者名:にゃんこすき | 作成日時:2019年5月16日 17時