マサイside ページ46
案件班の横須賀での撮影は
思っていたよりスムーズに進み、
予定より少し早くEDを撮り終えた。
「マサイはスパ入んねーの?」
「悪い、俺は先に行くからシルクたちはゆっくりしててくれ」
「あー…じゃあ後で電話する。Aによろしく」
察しのいいシルクとンダホとぺけたんに見送られ、
ホテルに入ってすぐのロビーでAを見つける。
「あれ、予定より早いね?」
「…なんでここにいるんだ?」
「お兄ちゃんが今からなんでも買ってくれるんだって」
「…お兄ちゃん?」
モトキの事だろうが、そんな呼び方初めて聞いた。
「冗談で呼んでみたら気に入ったみたい」
お兄ちゃんと呼ばれてテンションが上がり
妹に良いところを見せようとしてるのだろう。
すごく納得がいった。
「…何買ってもらう予定だったんだ?」
「港にあった軍艦」
「いじめないでやれよ」
それにしてもAを1人で待たせるのは兄失格な気がする。
先程からAに男からの目線が集まってる。
俺が来るのが少し遅かったら、ナンパにあってただろう。
「その買い物は明日にして、
今日の撮影について部屋で話さないか?」
「んー。男子部屋に女子が行くのはなぁ…」
修学旅行設定を突き通すAは
可愛らしいが、ほんの少しだけめんどくさい。
「その設定、今だけ解除して、
コンビとして仕事の話をしよう」
「それなら仕方ないね!」
俺の発言に明るい表情を浮かべたAと歩き出すと
エレベーター前でモトキと遭遇する。
「あれ、マサイ戻ってきたなら今日はやめとくか?」
「うん。モトキたちの部屋で今日のこと話そう」
「…モトキ呼びに戻ってる?」
「サービスタイム終了みたいだな?」
俺の発言にモトキが悲しげな表情になる。
兄なら俺がいない時はちゃんと見てて欲しい。
部屋に着くと、Aが今日の出来事を語ってく。
ダーマが点呼係でザカオがレク係、
Aは班長でモトキがアスレチックだったらしい。
よくわからないが、童心に戻って遊んだようだ。
その後俺らの班の話をしてる途中でAは寝た。
「…はしゃぎすぎたか?」
「それもあるし、昨日ほとんど寝てないっぽい」
あどけない寝顔を見て、2人で嘆息する。
「Aの兄に話がある」
「…ついに俺はマサイの義兄になるのか?」
鋭い。けど義兄は違うだろう。
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作者名:にゃんこすき | 作成日時:2019年5月16日 17時