マサイside ページ30
マサイside
純粋に、一途に俺を見つめるAを
何も知らない奴らが好き勝手に穢す。
シルクにも割り切れと言われたが、無理だった。
鬱憤を晴らすかの様にAを強引に抱き、
少し冷静になってみると後悔でいっぱいだ。
疲れ果てた表情のAが「ぎゅってして」と俺に両手を伸ばす。
謝りながらAを抱きしめると、少し掠れた声で
「わたし、強引なマサイも大好きだよ」と
髪の毛をぐしゃぐしゃに撫でられ、安堵する。
ふらつくAを支え、2人でシャワーを済ませると
部屋着に着替え、Aをベッドまで運ぶ。
「…マサイ、話をしよう?」
真剣な瞳のAに何も言い返せない。
今から言われることはわかっている。
「…Aも割り切れって言うんだろ?」
動画に出続ける限りアンチはいなくならない。
割り切らなきゃ無理なんだろう。
Aは不思議そうな顔で「いや、マサイの浮気について話し合いたいんだけど?」と呟く。
「…は?浮気?」
A以外の女は考えられないし、誤解をされるような出来事もないはずだ。
Aが首を傾げ
「わたしといるのにアンチのことばっか考えるのは浮気だよ?」と俺の手を掴む。
「わたしだって、好き勝手言われて、
何も思わないわけじゃないよ?
でも、そんなこと考えてたら楽しくないでしょ?
わたしは毎日笑って過ごしたいの
好きなことやって、やりたいことやって
「あー今日も楽しかった」って1日を終えたいの」
「嫌なこと考えて気持ちを落ち込ませるより
マサイのこと考えて幸せな気持ちになりたい」
Aの言葉が心にすとん、と落ちてくる。
「ねぇ、アンチとわたし、どっちが本命?」
冗談のような言い方だが、目が笑ってない。
「Aだ。アンチなんてどうでもいい。
もう絶対Aの事しか考えない。」
言い切ったことでAに笑顔が戻る。
「なら今回は初回なので見逃します。
次はないので気をつけてください」
違反切符を切られずに済んだようだ。
「次からは絶対に気をつけます」
芝居染みた掛け合いに2人で笑い合い、
ベッドに横になる。
「あのさ…聞き辛いんだけど」
「ん?」
「マサイ、避妊しなかったよね?」
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作者名:にゃんこすき | 作成日時:2019年5月16日 17時