オッパと炭酸と私とテヒョン ページ12
『ふぅ〜、のど乾いたなぁ。』
自販機って、こっちだったかな
『あれ？見当たらない。』
完全なる迷子だし
ぼーっと立ち止まっていたら、背中に衝撃が
「A、何してるの？」
この声と香り、ベクオッパだ
「自販機探して、迷子です。」
BK「残念だけど、こっちには何もないよ。」
「どこにありますか？」
BK「優しいオッパが、連れて行ってあげる。」
「ありがとうございます。」
BK「はい。じゃ、手を出して。」
背後から前に回ると、私の前に掌を差し出す
その上に手を乗っけたら、きゅって繋がれた
BK「どうやったら、迷子になるのかな〜。」
「ごめんなさい。」
BK「今さ、どんな気分？」
「え？」
BK「スカッとしたい？癒されたい？眠たい？」
「えーっと、スカッとです。」
BK「よし、これだな。」
会話している内に到着した自販機前、オッパが買ってくれた
BK「はい、弾ける炭酸レモンライム味。」
受け取ったボトルをじーっと見ている私
BK「テヒョナが好きな味でしょ？」
ニィッて笑うオッパ、絶対わざとじゃん
BK「お、噂をすればテヒョナだ。」
オッパが指さす方向に、テヒョンがいた
ヤバい、気づかれる前に行かなきゃ
「オッパ、ありがとうございました。」
BK「え、ちょ、A？」
慌てて人ごみに紛れて、その場から離れた
「はぁ〜。」
逃げ込んだ屋上、当たり前だけど誰もいない
冷たい風、真っ暗な空、見えない星、鼻の奥がツンとなる
買ってもらった炭酸を口に含み、顔を上げて口を開いた
口の中で炭酸が弾けて、しゅわしゅわしゅわって音がしている
音が消える頃に、ゴクッと飲み干す
何度か繰り返すうちに、胸の中にあったモヤモヤしたものが浄化されてゆく
これ、いいな。お手軽だし、どこでも出来るし
うん、新しい方法見つけたな
「見つけた！！」
テヒョンの大きな声が、屋上に響く
振り返ると、ものすごい勢いで走り寄ってきた
TH「パボ、風邪引くよ。」
テヒョンに、強く抱きしめられた
TH「一緒に帰ろう、Aヌナ。」
ニヒヒッて笑うテヒョンに、気もちがほぐれてゆく
うじうじ悩んでいることなんか、どうでもよくなっちゃった
『テヒョン、ありがとう。』
照れくさくて、日本語で小さく呟いた
離さないとでもいうように、強くぎゅっと握りしめられた手
そのまま楽屋へと連れて行かれた
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作者名：薫
| 作成日時：2017年12月4日 13時
