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北斗が家を出て、
私はまた元みたいなヒモノ生活に逆戻りしてしまった。
綺麗に整えられていたはずのキッチンには
カップ麺の容器が並び始め、
部屋中所狭しと服が散らばっている。
どれも全部見ない振りをして、
着替えもせずベッドに身を沈めた。
ほぼ身ひとつでうちに転がり込んできた北斗は、
当然スマホなんて持っていなかった。
連絡用に、と渡していた私のタブレットはリビングのテーブルに置いたまま。
北斗がどこにいるのか、知る手段は何もない。
だって北斗のこと、名前以外ほとんど何も知らないんだから。
「…ちゃんとごはん食べてるかな」
今頃、どこで何しているんだろう。
.
冬の寒さが本格化してきて、
クリスマスだなんだと浮かれ始める街並み。
そこにひとりでぽつんと放り出されるのには毎年慣れていたけど、
今年は隣に北斗にいてほしいなんて柄にもなく思ってしまう。
…それくらい、北斗と二人で過ごした日々は楽しくて幸せだったんだ。
点滅する信号に急かされても走る気にはなれなくて、大人しく立ち止まって次の青を待った。
早く帰りたい気持ちはあるけど、北斗がいた頃ほどではない。
せわしなく行き交う車の間から見える向こう側の人たちは、
こちら側と同じく誰もかれもが二人組で、仲よさげにひとつのスマホを見つめたり身を寄せ合ったり。
そんな群れに一人で突っ立っていれば嫌でも目立ってしまうもので。
…北斗はその中にいた。一人で寒そうに身を縮めながら。
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はぴ(プロフ) - 澪さん» ご指摘の点、修正いたしました。最後までお読みいただきありがとうございます! (2019年10月27日 23時) (レス) id: 30e2dc2cd0 (このIDを非表示/違反報告)
はぴ(プロフ) - あんずさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます...!お楽しみいただけて何よりです! (2019年10月27日 23時) (レス) id: 30e2dc2cd0 (このIDを非表示/違反報告)
澪 - 完結おめでとうございます!すみません、あの次のお話にいくときに押すボタンのところがまだ続くになっていますよ 完結したので編集画面で執筆状態のところを完結にしてくださいね (2019年10月27日 22時) (レス) id: 1546ba87f7 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - 完結おめでとうございます…!すごく惹き込まれるお話で、最近はこのお話の更新が1番楽しみでした!素敵なお話をありがとうございます。とっても楽しかったです!本当に、お疲れ様でした! (2019年10月27日 22時) (レス) id: c8152cd10b (このIDを非表示/違反報告)
はぴ(プロフ) - ぽめり。さん» お読みいただきありがとうございます!本日で完結してしまいましたが、また今度お話を出すときに読んでいただけたら幸いです! (2019年10月27日 21時) (レス) id: fcb0b50e70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はぴ | 作成日時:2019年10月5日 23時