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「ここ、ここの618号室」

「618?おっけ」



手元がおぼつかない私から鍵を奪ってオートロックを解除したかと思うと、
肩に腕をまわしたまま当然のようにエレベーターまで乗り込んでくる樹くん。



「家入るとこまで見届けさしてよ、酔わせたの俺なんだから」

「やさしーね」

「うん、よく言われる」



玄関の鍵をがちゃがちゃしてたら中から近づいてくる足音がして、そこで初めて思い出した。
…そうだ。今、家には北斗がいるんだった。



「遅かったね、おかえ、り…」



ドアを開けた北斗は私と樹くんを見て驚いた顔で固まった。
なんとなく気まずくて、樹くんの腕からするっと抜け出す。



「…樹くん、送ってくれてありがとね」

「ううん、彼氏と住んでんの?」

「へ?ああ…彼氏、っていうか…」

「…俺はただの同居人です、送ってくれてありがとうございました」



まわらない頭で必死に誤魔化そうとする私の腕を北斗が強く引っ張った。
樹くんにかけた言葉は、いつもの北斗の言葉とは思えないくらい冷たくて鋭い。

まるで樹くんを締め出すようにドアが閉まると、なんとも言葉を発しづらい雰囲気に包まれた。



「…もうあの人と会わないで」



何て言おうか、遅くなったことを謝ろうか、樹くんのこと何て説明しようか、
ぐるぐる考えていたら北斗に先手を打たれてしまった。



「え?」

「もう会わないで」

「何言ってんの…樹く、田中さんとは仕事の付き合いなんだから、」

「その仕事、誰かに代わってもらって」



冷たく言い放つ北斗は、全く私の方を見てくれない。



「北斗どうしたの?田中さんのこと知ってるの?」

「別にそういうわけじゃないから」

「…とにかく、仕事の付き合いなんだから会わないなんて無理。もうこんな時間まで飲んだりしないから。ね?」



不機嫌そうな表情を崩さない北斗をなだめるようにそう言っても、相変わらず北斗は目を合わせてくれなかった。

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はぴ(プロフ) - 澪さん» ご指摘の点、修正いたしました。最後までお読みいただきありがとうございます! (2019年10月27日 23時) (レス) id: 30e2dc2cd0 (このIDを非表示/違反報告)
はぴ(プロフ) - あんずさん» 嬉しいお言葉をありがとうございます...!お楽しみいただけて何よりです! (2019年10月27日 23時) (レス) id: 30e2dc2cd0 (このIDを非表示/違反報告)
- 完結おめでとうございます!すみません、あの次のお話にいくときに押すボタンのところがまだ続くになっていますよ 完結したので編集画面で執筆状態のところを完結にしてくださいね (2019年10月27日 22時) (レス) id: 1546ba87f7 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - 完結おめでとうございます…!すごく惹き込まれるお話で、最近はこのお話の更新が1番楽しみでした!素敵なお話をありがとうございます。とっても楽しかったです!本当に、お疲れ様でした! (2019年10月27日 22時) (レス) id: c8152cd10b (このIDを非表示/違反報告)
はぴ(プロフ) - ぽめり。さん» お読みいただきありがとうございます!本日で完結してしまいましたが、また今度お話を出すときに読んでいただけたら幸いです! (2019年10月27日 21時) (レス) id: fcb0b50e70 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はぴ | 作成日時:2019年10月5日 23時

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