どうしよう ページ27
「オールマイト……」
息も絶え絶えに職員室に入る。
ヒーロー科の教師がほとんど出払ってがらんとしている中で、見知ったヒーローの名を呼んだ。
オールマイトは血相を変えて画面に釘付けだった。
その膝の上にいる小さな女の子はオールマイトとパソコンの画面を交互に見ては不安そうな顔をしていた。
「先生！」
聞き馴染みのない呼び方で声をかけられた元No.1ヒーローはビクッと骨張った体を跳ねさせて振り返った。
「轟少女、これは……」
「父や兄はどうなってるんですか？」
「分からない。知り合いの警官から情報は貰っているが、今は何とも…」
街がどんどん破壊されていく。
上空から撮られた惨状は一層私に現実を突きつける。
「轟少女……」
「なんでこうなったのかなぁ」
呆然としたまま無意識に本音が溢れた。
「実は、君のお父さん__エンデヴァーが敵の動向に関する情報を手に入れてね。
この抗争は起こるべくして起きたんだ。」
「え……」
「この規模は想定外だったけどね……」
オールマイトはたいそう困ったというように眉間に手を当ててため息をついた。
なんだ、中途半端なのはまた私だけなんだ。
兄たちから抗争を仄めかされたって所詮私は蚊帳の外。
何もできないのだ。
「敵もヒーローも総動員で戦っているらしい。被害規模は……今世紀最大になるだろう。」
オールマイトは悔しそうに語る。
私の頭の中ではある人の姿がひっきりなしに浮かんでいた。
「轟さん！」
担任の先生が慌てて職員室に飛び込んできた。きっとクラスメイトから聞いたのだろう。
馴染みの顔を見てどこか緊張がほぐれた気がして一気に強張っていた体の力が抜けた。
「少女、とにかく今は……「どうしよ、」
「どうしよ、お兄ちゃんが死んじゃったらどうしよう……」
ヘナヘナと座り込んで顔を覆った。
椅子から降りたオールマイトはわざわざしゃがんで私の背をさすってくれた。
「大丈夫、轟少年は強いから絶対帰ってくるさ。」
「なんで、なんで」
テレビの中継音がうるさい、日本がどうなるかなんてどうでもいい。
ただ、大切な人が無事でさえいればそれでいい、それなのにどうして……
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名無し65741号(プロフ) - 更新待ってました！！ありがとうございます！ (5月11日 23時) (
レス) id: 9c5ca5a812 (このIDを非表示/違反報告)
くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
