春闘 ページ26
「A隈ひどいよ？」
「うん……」
差し出された手鏡で目元を確認する。
青隈がまるでホラー映画みたいだ。
結局一睡もできなくて今に至る。
涙はもう止まっているが、泣き過ぎて逆に疲れてしまっていた。
今も心がずっと張り詰めていて、携帯の通知音が鳴るたびに抗争が始まったんじゃないかとビクビクしている始末だ。
お兄ちゃんの話が嘘であってほしい。
洒落にならない嘘だろうと今なら許せる。
「ほーら！食堂行こ！食べなきゃ元気でんよ。」
「うん……」
「あたし今日はカツ丼にする！」
「ガッツリだね。私はナポリタンかな。」
「ほんっと洋食好きやねぇ〜」
感心半分呆れ半分の声を聞いて少し心が落ち着いた。
ふと窓の外を見ると外の景色は穏やかで、柔らかい風が入ってきている。
もうすぐ春ですね。どこで聞いたかも忘れたほど昔の歌のフレーズを口ずさんだ。
そしてポケットの携帯が震えた。
窓のサッシに手をかけてため息をつく。
携帯を見なくてもなんの通知かなんてすぐわかる。ああ、ついに来ちゃったんだな……
「ん？なんやろ………」
携帯を開いたゆいこの顔が青くなっていく。
教室の中でちらほら困惑の声が上がり始めた。
「A……これ…」
差し出された画面には崩壊する街が映っていた。
積み木が崩れるようにバラバラと壊れていくビル、電線、地面。
まるで戦隊モノの映画のように呆気なく荒廃していく様子に絶句していた。
「今ヒーローが戦っとるって。ねぇA、エンデヴァー、大丈夫なん？」
その言葉を皮切りに私は駆け出した。
受け入れた、噛み砕いて飲み込んだはずのやり場のない悲しみ、憤りがごちゃ混ぜになったまま走る。
「Aっ！！！」
私を呼ぶ声が遠くなっていく。
すれ違う人に目もくれず、ある場所を目指してただがむしゃらに走った。
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名無し65741号(プロフ) - 更新待ってました！！ありがとうございます！ (5月11日 23時) (
レス) id: 9c5ca5a812 (このIDを非表示/違反報告)
くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
