電話 ページ24
それは突然だった。
兄の懇願から数日後、眠れない夜を過ごしていると静まり返った部屋にけたたましい着信音が鳴り響く。
非通知でかかってきた電話を恐る恐る耳にあてた。
「もしもし…？」
「A、久しぶりだな。」
「燈矢お兄ちゃん……」
どうして私の番号を知っているのか、そんなことを聞くより早く大粒の涙が溢れ出していた。
「泣くなよ、元気にしてるか？」
「うん…でもどうして？」
「なんとなくだ。」
嘘だ。
なんとなくで電話をかけたのなら、そんな声しない。
「お兄ちゃん……抗争が起きるって本当？」
「なんで知ってる。」
穏やかだった空気が張り詰める。
やっぱり本当だったのだ。
ワントーン低くなった声を聞いて歯がカチカチと震え出す。
「そんな噂が流れてるの。ねぇ教えて、いつ起こるの？」
知ってるでしょ、お兄ちゃんは荼毘さんで、荼毘さんは敵なんだから。
電話越しに聞こえた日付。
もうすぐだった。
「今回の抗争は今までのとは比にならねぇ。一般人も巻き込む予定だ。だからA、逃げろ。
どこだっていい。誰にも言わずに雄英から出ろ。」
兄さんの予感が当たった。
お兄ちゃんに忠告された今、事の重大さに恐れ慄いてしまう。
どうしようかとしばらく迷った後、意を決して息を吸った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4229人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (
レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 錫也さん» ありがとうございます！荼毘くんと逃避行していたら今頃…… ご愛読ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
