お前が守れ ページ22
『食堂に来てほしい。』
春休みも終わりに近づき、2年生まであと少しという時期に兄から呼び出された。
大人しく食堂に行くと、人の少なくなった隅の方で見覚えのある紅白頭が待っていた。
「何か用？」
近くに寄って声をかけると、兄は神妙な面持ちで口を開く。
「話がある、ちょっと長くなるかもしれねぇ。」
わかったと頷いて、一度席を離れた。
しばらくして席に戻り、私の席にカフェラテを兄さんには日本茶を置く。
「ありがとう。」
「話って何？」
「っ…もしかしたら、デカい抗争が起きるかもしれない。」
「えっ……？」
「3月に入ってから、親父の事務所がバタバタし出した。
他の事務所も雄英の先生たちも何となくピリピリしてる。」
勘違いだったらいいけどな。と眉間に皺を寄せて語る。
何となく不安を煽られ、落ち着くためにカフェラテを一口飲んだ。
「もし抗争になったらヒーロー科も協力するの？」
「多分…‥詳しいことは俺もわからないけど何かしら協力はしなきゃいけねぇ、と思う」
「そっか……」
どうして私にそんな話をするのか気になって、しきりに兄の顔を見ていると、フッと笑って先程とは真逆の穏やかな顔になった
「どうしてこんな話するのか気になってんだろ」
「当たり」
「もし抗争になったら姉さんたちやお母さんを守ってやれるのはお前しかいないだろ」
「私、一般人だよ？」
「分かってる。でも俺も親父も戦闘に参加するんなら家族を置き去りにしちまう」
いつからこんなに"家族思いのいいヤツ"になってしまったんだろう。
近づいていた心が、一歩後ろに下がってしまった気がした。
「都合のいいこと言ってるのは百も承知だ。……親父から聞いた。お前がヒーローに苦手意識があるのは親父が原因だって。
でも俺のせいでもあるだろ、俺がお前はヒーローになれないって言ったから…」
「今更そんなこと掘り返さないでよ。もう気にしてないし」
元からヒーローになろうなんてかけらも思ってない。
だってずっと見てきたから。
ヒーローになるために虐待のように辛い訓練を強いられる片割れも
怒鳴られる母親も
鬱屈した雰囲気の家の中で逃げ場のなかった姉と兄も
突然いなくなったかと思えば10年後にヒーローとは真逆の人生を歩んでいる大好きな兄も
そんな中で今更正義のヒーローになりたいなんて都合の良いこと考えるわけない
ヒーローは苦手
私はその考えを持ったままでいい
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くじら(プロフ) - めっちゃ好こです！更新頑張ってください！ (4月5日 8時) (
レス) @page30 id: 85541f6d4c (このIDを非表示/違反報告)
爪楊枝 - 読んでいて、すごく楽しいです！！ (3月29日 8時) (レス) @page30 id: ee4a2d718e (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - アップルパイさん» ありがとうございます！感情移入して読んでくださりとても嬉しいです！亀更新ですがこれからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 名無し47183号さん» ありがとうございます！亀更新で本当に申し訳ありません…！これからも応援していただけると幸いです！ (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
餅つき団子(プロフ) - 錫也さん» ありがとうございます！荼毘くんと逃避行していたら今頃…… ご愛読ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。 (2月17日 0時) (レス) id: 2a377f2d71 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：餅つき団子 | 作成日時：2023年3月7日 17時
