【七種茨】Hug 2

ナンパ？ ページ26

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一人で外に出ることなどほとんどないため、行く宛てもない。

平日だというのに学校帰りか、制服を着た学生が多い
自分も高校生の年齢だが、学校には一度も通ったことがない。普通の生活をしている人間がたまにすごく羨ましくなってしまう。



｢ねぇねぇ、お姉ちゃん｣

｢はい？｣

｢迷っちゃったんだけどさァ、助けてくれない？｣



初対面からタメ口聞いてくる人間にはろくな奴がいない。これは誰から教わった訳では無いが、私の経験上だ。

汚く染まった金髪に、不清潔な服装。
不愉快極まりない。



｢一緒にさ、うぉ！？！｣

｢触らないでいただけますか｣

｢あっぶねえな！何すんだ！！｣



手を肩に乗せられそうになり、途端に足が出てしまった。

ズボン履いてきてよかった〜と心の中で思いながら、相手からは目を逸らさず睨みつける。



｢ナンパというものでしょうか？私まだ未成年なのですが。警察、呼びますよ｣

｢お、おま……！覚えてろよ！｣



警察呼ぶより自分で対処した方が早いが、社会的にも死んでもらいたくスマホを取り出してみせた。
どっかの悪党みたいな捨て台詞を吐いて逃げてく姿は無様でしかない。

周りには人が心配そうにみている。
見てるくらいならなんか声かけろよとは思ってしまうが、



｢わ！｣

｢急いでください｣



騒ぎの中心になってしまっていた私は、どう立ち去ろうか悩んでいたところだった。

寒いせいで冷たくなった手を握ってくれたのは今会いたかった人



｢茨！なんでこんなところにいるんですか！｣

｢学校帰りです。騒ぎがあったので何かと思えばAの姿だったので。あそこでよく蹴りいれませんでしたね。｣

｢目立ちたくなかったんですよ｣



茨に手を引かれ、駆け足で私が歩いてきた道を戻る



｢綺麗なんだから、目立ちますよ｣

｢っ！｣



こちらには向かず、前を見たままそう言った。

臙脂色の髪から覗く耳が赤く染っていた。

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