華のない隊士【日番谷冬獅郎】

28.華がない私の蜘蛛討伐 ページ29

浅打を引き抜き。構える


[ホォォォン!!]


虚の呻きと共に背後に現れたのは大きな蜘蛛の巣



虚の目が私を捉え、ニタリと笑う



来る･･･！




虚は口から糸の塊を吐き出す


『！』

とっさに良ければ、先ほどまで居たところに塊が落ちる


ベトリとしている塊。これに当たれば身動きが取れないだろう


だったら当たる前に片づければ良いだけの話


瞬歩で虚の背後へと移動し。切り付ける


[ｶﾞｷﾝｯ]


虚も鋭い牙で浅打を噛み、離さない


離さないかと力を籠めたりと試してみたが離す気はないらしい


ぐぐ、と力を強く籠めるが虚も牙に力を籠めてくる


まずい、これ以上力を籠めたら折れる･･･！


『破道の、四 白雷！』


虚の目を雷が貫通する。


[ホォォォォォン!!]


虚が怯んだ隙に後ろへと下がる



刀身に傷は･･･


チラりと見れば、傷はない


怯んだ虚が私を睨みつける


もう許さないぞ、とでも言う様に


『やってやる！』


こちらもにらみ返す


虚はどうやらまた糸の塊を吐く様でその態勢を作っている


『破道の三十一 赤火砲！』


赤火砲を放った瞬間、虚も糸の塊を吐き出した


だが、相殺されたらしく


赤火砲が溶かした糸が、べちゃべちゃと地面に飛び散る


こちらにも溶けた糸が飛んでくる


ベトリ、とそれが袴に付く


まぁ少しだけだから問題ないか



再び背後に回り、虚へと切りかかる


[ｻﾞｼｭｯ]


虚の腹を両断したため腹から糸がこぼれ出る


それを避けようとした、瞬間



足 が 動 か な い





どうして？





動かない足を見れば、袴についた糸がいつの間にか足を拘束し始めていた



よく見ると糸の中に小さな蜘蛛がおり、その蜘蛛が糸を増やしている様だった


そして、袴に気を取られている瞬間



虚が大きな糸の塊を吐いた



どうする？



足は動かない





塊は大きすぎて浅打じゃ切ることも出来ない



[ﾍﾞﾁｬｯ]


粘着質な音を立てて、私は岩壁に張りつけられた

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