優しさをください。88 ページ23
クラスメイトである佐竹くんに話しかけられて、あまつさえ相席をしようと話を持ちかけられる。私は、その話の流れに戸惑いを隠せなくて思わず沈黙してしまった。
私に体を寄せている安室さんに、無意識にすがりついてしまう。佐竹くんからは見えないところで、安室さんの服をぎゅっと握っていたのだ。
佐「さ、どうぞ？」
にこやかに微笑みながら、けれども有無を言わせない言葉の強さで座らせようとしたいる。
『あ、あの、私たちは…』
そばにいるお店の人も、相席にするのかしないのか、早く決めろと雰囲気が言っている。それはそうだ。この人だっていつまでもこちらに構っていられるわけがない。
それを思えば思うほどに焦ってしまって、思考が止まりそうになる。
早く決めなければ。
相席ぐらい、どうということはないはずだ。
ただ、一緒に座るだけ。それだけなのに。
『(……なんで私、こんなにも嫌だって思ってるの？)』
自分の中にある感情に、戸惑いを隠せなくて、頭がパンクしそうになる。
と、私がもごもごとしている間に、安室さんがさっと答えてくれた。
安「いえ。せっかくですが、今日彼女は僕と一緒にいるんです。せっかくの休日ぐらい、二人っきりでいさせてくださいよ」
ほんの少しだけ照れたような声で、安室さんは体を動かして佐竹くんの視線から私を隠すようにしてくれる。
安室さんのその行動に驚きながら、私ははっとして小さく声を上げる。しかし、店内BGMの音や、他のお客さんのざわめきによって、私の声はかき消される。
おそらく、私のその小さな声を拾ったのは安室さんだけだと思う。
それでも、安室さんは私のその声に気づかないふりをして、私の肩から手を離し、そのまま手を握る。そして、佐竹くんに背を向けて、私たちを案内してくれた店員さんに声をかけた。
安「申し訳ありません……少し、所用ができてしまい、帰らなければいけなくなってしまいました」
店「……えっ！？」
安「ここまで案内していただいたのですが、帰ります。また、ここに来させていただきますね」
そう言いつつ、安室さんはものすごく申し訳なさそうな表情とポアロでいつも見せている営業スマイルでお店の人を納得させてしまう。
……あ、ちなみに、案内してくださったのは女性の方です。
そんな安室さんのなんとも言えない特技をみて、私は微妙な気持ちになりつつ、それでも、店員の方はまんざらでもなさそうな顔で「は、はい……」と呟いたので、もう気にしないようにしよう。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
