優しさをください。79 ページ12
学校生活にもだんだん慣れてきたある日。
私は放課後の恒例となっている部室で勉強を早速始めていた。
部室は道場と少し離れているが、そこから出れば道場を通ることになるから蘭ちゃん的には安心できるということだった。
セットしてもらった机の上に教材と飲み物をセットして、私は早速宿題や予習・復習を始める。
部室内には私がシャープペンを走らせるかすかな音と、道場での掛け声が聞こえてくる。
気合の入った掛け声をBGMにしながら、私は手を進めていく。
そばに置いてある水に手を伸ばしてキャップを開けようとした時、それが異様に軽いことに気づく。
『……あ、なくなってる』
基本的にあまり水分を取らない達のため、ペットボトル一本を開けてしまうのは、自分の中でなかなか珍しい。
けれど、いつも半分ほど残った水を持って帰ると、安室さんには苦笑されてしまっていたので、今日は苦笑されることはないなー、と考えて頬が緩む。
自分の中で大きくなってあるその存在に戸惑いと拒絶をしているくせに、彼のその一つ一つの態度に、心がポッと暖かくなる。
『(……ああ、もう…、本当に……――)』
胸中でつぶやくということにも抵抗がある。だから、他の誰も聞いていないとわかっているのに、言葉が止まってしまう。
そんな自分に苦笑しながら、私はカバンの中から財布を取り出して、部室から一歩出る。
道場の方にひょこりと顔を出せば、蘭ちゃんとちょうど目があう。
蘭「あれ、Aちゃん？どうしたの？」
額から汗を流しながらそう聞いてくれる蘭ちゃんに向かって、私は答えた。
『飲み物、なくなったから、買ってこようかなーって』
蘭「あ、じゃあわたしも一緒に行くよ。みんなー、いまから十分間の休憩ねー！」
蘭ちゃんがそういえば、部員の人たちが大きな声で答える。
蘭「じゃあ、行こっか！」
『う、うん。なんかごめんね……中止させちゃったみたいで……』
蘭「気にしないで、もともと休憩入れるつもりだったから。それに、無理な時はわたしも無理っていう時もあると思うから……」
『ううん、ありがとう。私のわがままに付き合ってくれて』
そういえば、蘭ちゃんが私に向かって微笑んでくれる。それに私も微笑み返して一緒に並んで自販機の前にあるく。
今500のペットボトルを買っても、ほとんど飲まずにそのまま捨ててしまう可能性がある。
なら250の大きさの方がいいかな。そう思って私は自販機にお金を入れて飲み物を買う。
それから再び部室に戻った。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
