優しさをください。78 ページ11
放課後。私は安室さんとの約束を守るために、蘭ちゃんの部活が終わるのを待つ。
教室で一人で待っているのは寂しいと思うからといって、蘭ちゃんは私を道場まで連れてきてくれる。そしてそこで見学させてくれるのだ。
洗練された部員達の動きを見つめながら、私は綺麗だなーと思いつつ、お昼の佐竹くんのことを思い出していた。
『(……今思い出しても、体が震えそう)』
それほどまでに、佐高くんのその表情は冷たかった。冷徹といっても過言ではないほどに。慈悲など感じられるはずもなく、いつも柔らかな雰囲気でにこにこしている彼とは全く結びつかないほどに。
膝を抱えて丸くなる。
視界には、部員達が掛け声を掛け合いながら練習に励んでいる姿。
『(……場違い……私、邪魔してるよね……)』
見学といっても、私は空手部に入りたくてここにいるわけではない。
至極私的な理由で蘭ちゃんに誘われたからここにいさせてもらっているのだ。
自分勝手すぎるその行動に、自分で嫌悪してしまう。
体操座りをしているその格好で、そのまま膝に額を当ててため息をつく。
見学していても迷惑わかけるだけなら、部室などを貸してもらってそこで勉強でもしていた方がいいかもしれない。
そう思って、私は蘭ちゃんが休憩の掛け声をかけた時、そばに近寄ってそれを相談した。
蘭「え？部室で勉強？……いいけど、大丈夫？」
『うん、ただここにいて見つめていても、きっと部員の人たちの邪魔になっちゃうと思うし……だから、勉強でもしていようかなーって』
蘭「……うーん……でも、安室さんにはできるだけ目を離さないようにって言われてるんだよね……」
『な、なんか、ごめんね……』
蘭「ううん、気にしないで。わたしもできるだけAちゃんの姿が見えてる方が安心するんだけど、それだとAちゃんが居づらいっていうならいいよ。部室で勉強」
『ほ、ほんと？』
蘭「でも、部室の扉はできるだけ開けっ放しにしててもらってもいい？やっぱり、わたしも心配だから……」
そういって眉を下げて私に相談してくれる蘭ちゃんに感謝しながら、その言葉に頷いて、私は部室で勉強の許可を取った。
それから、蘭ちゃんに水分を取ってもらいつつ、私とお話をしてくれて笑顔が自然と戻ってくる。
そのことに私は安心して居た。
だからこそ。
失敗したのだ。
悪夢は、忘れた頃にやってくると、すでに体験して居たはずなのに。
――私は、
また、
迷惑をかける―――――。
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霞葉 - このお話、とても好きです。続き、楽しみに待っています。 (2020年6月22日 12時) (
レス) id: a64398df50 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - RURUさん» RURU様、お久しぶりです！いつもあたたかなコメントを本当にありがとうございます。大変お待たせしてしまいましたが、ちょこちょこと更新も再開したいと思っておりますので、またおヒマな時に遊びに来てください！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - 白昼夢さん» 白昼夢様、コメントありがとうございます。更新大変遅くて申し訳ありません……。にもかかわらず、作品を大好きと言っていただける優しさにただただ感謝しております。ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2019年2月17日 14時) (レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
RURU(プロフ) - うおおおおおおおおおおおおおお！！！更新待ってましたーーー！もう大好きです！いつまでも楽しみにしてます！ (2019年2月14日 12時) (レス) id: b7492cc28b (このIDを非表示/違反報告)
白昼夢 - ああああああああああああああぁあぁああぁ！！！更新されてるうぅぅうううぅうう！！！って思いました！w頑張ってください！この作品大大大好きです！！ (2019年1月16日 16時) (レス) id: 57897e1d91 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年7月11日 14時
