優しさをください。31 ページ41
安「これほど怯えている女性に向かって、迎えに来たなどと、よく言えますね」
男「あんたには関係ないだろう。いいから、その子をこちらへ渡してくれ」
安「お断りします」
男「なに？」
安「聞こえませんでしたか？断る、と言ったんです」
はっきりとした口調に、私の体から力が抜けるかと思った。私は、安室さんのそばにいてもいいんだという、安心感。
それなのに。
男「いいから、こっちによこしてくれ！！」
必死の形相で私に向かって視線を投げつけ、手を伸ばしてくるその男を見て、私の体は再び恐怖に縛られる。
けれど、それよりも上回った私の恐怖。
男の手に握られているのを見た私は、とっさに体が動いたのだ。
手を握ってくれているコナンくんの手を振り払って、目の前にいる安室さんの横を通り過ぎて、安室さんをかばうように前に出る。
それは、本当にとっさのことで、私自身もどうしてそんな行動に出たのかがわからなかったのだ。
コ「っ！？Aさんっ！！」
蘭「だめっ！！」
安「…っ！？」
声が聞こえる。
私を呼ぶ声。
心配する声。
息を飲む音。
両手を広げて、男と安室さんの間に立って、その凶器の切っ先を私は自身の体で受ける。
ああ、せっかく蘭さんに借りた服を、またダメにしてしまった。
けれど、勝手に体が動いたのだ。
『……っつ！！』
ざっと、男が手に持っていたナイフが私の体を切りつけた。痛みが一瞬遅れて襲ってくる。
安「Aっ！！」
あ、呼び捨てだ。
冷静なところでそんなことを考える。もともと安室さんを切りつける予定だったそのナイフを持った男は、私の突然の割り込みに驚愕で目を見開いている。
その様子から、私にもともと傷をつけるつもりは毛頭なかったのだと理解できる。
安「なにをしているんだっ！？」
『……体が、勝手に……』
安「それ以上、体に傷をつけてどうするんだ！まだなにも治っていないんだぞ！？」
『でも、代わりにあなたは傷つかなかった』
安「あの程度の攻撃は自分でなんとかできた！」
『……そう、ですよね……私、な、んで……？』
あれ？と思った時には、私の体には異変が起きていた。
全身が麻痺している。そう自覚した瞬間に、私は自分の力で立っていることができなくなって、その場にくずおれる。
安「Aっ！？」
コ「Aさん！？」
安室さんと、コナンくんの声が聞こえる。蘭さんの心配そうな声も聞こえてくる。
意識はしっかりとしているのに、体が全くいうことを聞かない。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
