閑話：side安室―4 ページ30
震える声で、Aさんは答えてくれる。
『な、んとか……。すみません、結局、迷惑ばかりかけてますね。私……』
震えた声でそんなことを言う彼女は本当に申し訳無さそうにするものだから、こっちが困惑してしまう。
安「いえ、気になさらないで。それよりも、先ほどの男は？」
『……わかりません、けど…、あの、路地裏で、私を、襲って来た人と……同じだと、思います……』
きゅっと、僕が肩にかけたジャケットを握りながらAさんはそう言ってくれる。
安「…なるほど……。とにかく、ここを早く離れましょうか。動けますか？」
『…大丈夫です……』
そう言って、Aさんは体に力を入れているみたいだけれど、全くといっていいほど言うことを聞いていないのは見ればわかった。
ガチガチに固まってしまった体をほぐしてあげたいとは思うけれど、今はそれよりも、一刻も早くこの場所から立ち去るのが正解だ。
安「大丈夫そうではありませんね…。じゃあ、抱き上げますから」
『えっ！？いえ、大丈夫…きゃっ！』
安「大人しくしていてください。それに、助手席に移すだけですから」
そう言って、僕はAさんを掬い上げて、さっさと助手席側に移動する。
一度、彼女の体を支えている腕を抜かなければ扉あげられないことに気づいたのはその後だったため、仕方なく、「少しの間つかまっていてください」といい、少しだけ彼女の体を持ち上げる。Aさんは大人しく僕の言うことを理解して、首に腕を回してしがみついて来てくれた。開いた右腕で助手席の扉をあけてさっと彼女を座らせて、素早くシートベルトを締める。
さっと自分も運転席側に回り、先ほどの男と応戦した時に落としてしまったスーパーの袋を拾い上げ、後部座席に放り込んだ後、運転席に座り、車を発進させた。
しばらく走らせれば、毛利探偵事務所の前に着く。
時刻は今、四時前。
運が良ければ、確か蘭さんは今日部活がないと言っていたし、テスト期間だから早めに帰ってくるとも言っていた。もうすでに家にいるかもしれない。
僕は自分のシートベルトを外し、Aさんに「少し待っていてください」と、言葉を置いて、急ぎ気味で探偵事務所に入る。この時間は大体こっちにいるはずだ。
事務所まで早足で駆け上がり、事務所の扉を開ければ、ちょうど蘭さんと視線が合う。
蘭「あれ、安室さん？」
安「蘭さん！ちょうどよかった。少し一緒に来てくれませんか？」
僕の言葉に蘭さんは首を傾げた。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
