優しさをください。22 ページ26
あれから、私は再び安室さんの運転でとあるところまで連れてきてもらった。
そこには、二階の窓に“毛利探偵事務所”と白文字で大きく描かれている場所だった。ここに何の用があるのだろうと首を傾げていると、安室さんが「少しだけ待っていてください」と言って、車から降りてしまった。
……今、何時なんだろう……。
車についている時計を見てみると、すでに四時近い。
なんだか、ここに連れてきてもらうまでに色々とありすぎてどっと疲れた。眠ってもいいだろうか……と思いつつも、安室さんが戻ってくるのをとりあえず待つ。すると、数分で彼は戻ってきて、その後ろには、髪の長い女の子がいた。
『(…あ、あの子はなんか、見覚えがある……)』
長いロングヘア。大きな瞳。どこで見たんだろうと思っていると、安室さんと一緒にその子が近ずいてきて、少しだけ警戒する。けれど、よく見ると、その女の子が私の手当や、服などを貸してくれた蘭さんだと認識すると、警戒は完全になくなる。
それよりも、私も知っている人だと言う安心感に包まれる。
蘭「あっ、大丈夫ですか！？」
『……え？』
なんで今その言葉を言われるのかがわからなくて、私は本気で首を傾げた。私のその行動に困惑したのだと思う。蘭さんは困った表情のまま、私と安室さんを交互に見つめている。
私はなんんことだかわからなくて、安室さんを見上げて見つめる。すると、安室さんも困惑しているのか、困った表情で私を見つめている。
と、すっと安室さんが私に向かって手を伸ばしてきた。
『……っ！！』
多分、恐怖の表情をしたんだと思う。自分でも表情がこわばったとわかる。安室さんも蘭さんも、私のその怖がり用に驚いているのがわかる。
ハッとしたけれど、もうすでに遅い。
何かを言わなければと思うけれど、喉から声は出てこないし、指一本、動かすこともできないほどに体が言うことを聞かない。
安室さんは、とても悔しそうに、悲しそうに、しながら伸ばしてきた手を引っ込める。代わりに、かがんで私がすわっている助手席に身を乗り出してきた。
私を通り越したかと思うと、かちゃん、と音がしてからだから締め付けがなくなる。シートベルトを外してくれたんだと思い、私は最低限の礼儀鵜を必死に守った。
『ありがとう、ございます…、安室さん』
安「…！いえ…これぐらい、当然ですよ」
何を持っての当然なのかはわからないけれど、それでもその優しさはありがたかった。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
