優しさをください。14 ページ16
とりあえず、私は安室さんの手を借りて腕だけでもということで濡らしたタオルで優しく拭ってくれる。しみたけれど、我慢できないほどでもないし、これはどうしようもないことだと理解もしているため、あまり痛みは訴えなかった。
安室さんもそれは理解しているのか、今度は我慢しないでくださいとはあまり言わなかった。
一通りの作業が終わって、私は再び安室さんに治療してもらう。
ガーゼを当てて、それをテープで固定して、包帯を巻いていく。手慣れた感じで黙々と進めていく安室さんを見つめていたけれど、私はふと、窓の外に視線を投げた。
素晴らしいほどの快晴で、雲一つ見当たらない。
『綺麗な空………』
安「Aさん？どうかしましたか？」
安室さんは私の小さなつぶやきを聞いて、言葉をかけてくれる。耳に心地のいいその声を聞いているだけで安心する。知らず、私は笑っていたらしい。
『空がすごく綺麗だから……、思わず、見とれてしまいました……』
安「ああ、そうですね。雲一つない、素晴らしいほどの快晴です」
『安室さんの瞳と同じですね』
安「え？」
自然と出てきた言葉に、それでも私は満足した。そう、この言葉は何も間違ってないどいない。だからこそ、私は今までにないほどの笑顔で、それを断言したのだ。
『すごく、好きです』
安「……っ！？」
『すごく綺麗で……透明感があって……見てて、安心できますよね。雲ひとつない快晴って、すごく好きです』
安「あ、ああ…空の話ですね……」
『？安室さんの瞳の色の話でもありますけど……』
安「……お願いですから、それ以上男を煽るようなことは言わないでください……」
『？』
安室さんが何を言いたいのかわからなくて首をかしげる。そんな私の様子を見て、安室さんはなぜだか少しだけ疲れたようなため息をついた。
安「……Aさんの瞳も、綺麗ですよね」
『え？』
安「瞳、金茶っぽい色ですよね。綺麗ですよ」
『な、なんか、恥ずかしいですね……でも、ありがとうございます』
安室さんに唐突に褒められて、私は赤面する。けれど、褒められてことが私自身が思っていたよりも嬉しくて、照れて頬は多少赤いと思うけれど、安室さんにお礼を言う。
と、私を見て安室さんがまた目を見開く。
やっぱり、すごく好きな青色……。
見ていてとても心が落ち着く色。
『……っ、いたっ！？』
安「あっ、すみません！」
『あ、いえ、大丈夫です』
力加減間違えたのかな、と思いつつ、私はおとなしくしていた。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
