優しさをください。13 ページ15
『あの、無理にとは言わないので……気になさらないでください…！』
安「そのくらいでしたら、叶えますよ。じゃあ、先にそれらを準備してきますので、こちらで少しだけ待っていてもらえますか？」
『え、あ、あの…でも、言っておいてなんですが、血で汚れてしまいますし……や、やっぱりいいです』
安「遠慮なさらないでください。じゃあ、少し待っていてくださいね」
そう言って、安室さんは眩しすぎる笑顔を私に向けて、多分洗面所に姿を消した。
かすかに音がして、水音も聞こえてくる気がする。数分したら安室さんが姿を現した。両手には多分湯気が立っているからお湯の入った容器とタオルを持っていた。
安「じゃあ、とりあえず、包帯などを外していきましょうか。全て外し終えてから、僕ができる範囲であなたの体を清めていきますね」
『……え？』
安「え？」
『あ、いえ、それくらいなら、自分で……』
安「腕すら持ち上がらないのに？」
『う…っ』
それを言われると何も言えないんだけれども。でも、流石にそこまでしてもらうのは申し訳ない……。
安「別に、申し訳ないとか思わなくてもいいですよ。だから、存分に甘えてください」
……エスパーかと思うほどのタイミングでそんなことを言われて仕舞えば、その言葉に従うしかない。
私は小さな声で『よろしくお願いします…』と小さく言ったのだった。
安「じゃあ、作業を進めていきますから。先ほども言いましたが、痛かったら痛いと言ってくださいね」
『はい……』
私の腕を取って、包帯をくるくると巻き取っていく。その下から現れたのは、自分で思っていたよりも血の滲みかたが半端ない。
……これは、痛いよね。
何度か痛みを訴えればその度に安室さんは手を止めて、そばにあるお湯を使って幹部を少し濡らしながらゆっくりと取り外していく。左腕が終わってから右腕も同じようにして取り外してくれた。
と、今更ながらに気づく。
『…私、せっかく蘭さんに服借りたのにすごく汚してますね……』
安「でしたら、僕がちゃんと弁償しますから。大丈夫ですよ」
『何から何まで、本当にすみません……』
安「気にしないでください。はい、じゃあ、次は足の方をしていきますよ」
『あ、脱ぎます』
安「……いえ、やっぱりやめましょうか」
『え？』
安「女の子が簡単に男に向かってそんなことを言ってはいけませんよ。警戒心があまりない方なんですね…」
何を言っているのかわからない。首をかしげるしかできなかった。
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妃沙(プロフ) - 明里香さん» 誤字のご指摘ありがとうございます！修正しました！ (2018年6月2日 20時) (
レス) id: 8817d67e5d (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 安室sideに誤字がありました。「毒の車」ではなく、「僕の車」です。 (2018年6月2日 19時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
妃沙(プロフ) - コメントありがとうございます！面白いと言っていただけてとても嬉しいです！更新頑張ります！！ (2018年5月27日 8時) (レス) id: 35e497a401 (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！、更新頑張ってください！応援しています！！！ (2018年5月26日 23時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：妃沙 | 作成日時：2018年5月18日 8時
