ひ 影に潜むのは魔術師 ページ45
「ふん、成金上がりで女を煙草の煙で誘うなど、紳士などではなく"猿のモノマネ"だな。」
と被りを振る。
そしてガタリと立ち上がった後、少し足を引きずるように窓辺による。
「その女を監視しろ一週間以上、確実にな。」
「は？何故です、女は我々にスパイ行為を働いた。
旦那様が大切にしていた例の物を、それをあの女が盗んだのでしょう？
ひっ捕らえて憲兵に渡す方がいいに決まっています！」
主人は逆上しやすいスミダを宥め、いいから行け、と顎でしゃくった。
その八日後、スミダは館に戻ってきた。
興奮気味に赤らめた顔の男に、鼻だけよく聞く奴だ、館の主人はそうほくそ笑んだ。
「その女について報告しろ。」
「はい。
女の名前は林田スミレ。
我々に語っていたカリノという名前は真っ赤な嘘。
赤みがかった茶髪とそばかすは変わりませんが、仕事ぶりは以前とは嘘のように生真面目、雇われ賃金が高いんでしょうな。」
ペラペラとよく回る口が報告という愚痴に変わっていく、それを主人は片手で制した。
「他には。」
「ああ。
林田とは正反対に物静かな娘が、顔は思い出せませんなあ。
なんせ"平凡"ということくらいしか。」
明らかな表現の変化に主人は怪訝な表情をした。
このスミダという男、五年前に雇った男だが商売や値切り、館の運営に関して腕が立つが、なんせ素が下品だ。
「もう一つ聞こう。
その女が二人同時にいた事はあるか？」
「へ？
…そう言えば、見かけていないような…」
はて何故そんなことを、そう言いたげなスミダをやれやれと呆れたように見つめる男。
「ならその女は一人二役、お前を欺く為のフェイクだ。」
「なんと卑猥な、何故そんなことを？！」
「簡単だ。
お前に表の自分を観察させ、裏の自分の行為の隠れ蓑にする為だ。
ふんっ、どうやらお前に監視されていると踏んで、仕組んだらしい。
向こうの方が一枚上手だったな。」
これを聞いたスミダは顔を真っ赤にさせて怒り狂った。
そんなスミダにもういい下がれ、と手を振れば、慌てた顔でも恭しく礼をして立ち去ったスミダ。
すると彼と入れ替わりに、一人のメイドがやってきた。
「旦那様これを。」
差し出してきたのは手紙の束、主人はぺらぺらぺらっと手慣れた手つきでめくって行く。
すると、
「はっ、」
なんと男の手の中には失った筈の、"友好国"の裏帳簿が混ざっていたからだ。
驚いた顔でメイドに尋ねようとすると、
メイドはいつの間にか消えていた。
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アサノ(プロフ) - masyさん» 返事が遅れてすみません。そんな風に言ってた抱けるだけでとっても嬉しいです。masy様と趣味が合うなんてこちらこそ光栄です笑 (2017年12月27日 1時) (
レス) id: 35d7b1e41a (このIDを非表示/違反報告)
masy - ハリーポッターのも読んでます！もうアサノさんの小説が好きすぎて……(笑)とても面白かったです！ (2017年12月24日 20時) (レス) id: 065dd9adad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アサノ | 作成日時：2017年7月9日 14時
