空に光る星 2

哲学的な…？ ページ3

*



　転校して半年ほど経ったある日、リンクで練習するシイナさんの姿を見つけた。

　数ヶ月前の不調がウソのように軽々とジャンプを成功させている。

　来月、行われる大会に向け、練習にも力が入っている様子だ。

　
「シイナさん、調子良さそうですね！ボク、安心しました。」

「なんだ？俺の事、心配してくれてたのか？人の心配するより、自分の心配した方がいいんじゃない？」

「どういう意味ですか？」

「練習してても、なんか上の空って感じだぞ？」

　確かに前よりもジャンプの精度が落ちている。

　なにかシイナさんに見透かされたような気がした。

「―――あの…ひとつ聞いていいですか？」

「なに？」

「彼女さんの事、もうフッきれたんですか？あっ！やっぱ今のナシ！聞かなかった事に―――！！」

　訊ねた後、ヤバイと思ったけどもう遅い。

「はぁ〜、ビイ太のヤツ、羽生君にまでバラしてたのか！？」

「あぁぁっ…ごめんなさい！ゴメンナサイ！！」

「羽生君！謝んなくていいから…」

「すみません、失礼なこと言っちゃって…」

「いいよ、いいよ。それより、質問の答え…」

「―――はい。」

「――――――フッきれた…と言えば嘘になるかもしれない。でも、いい経験になったと思ってるよ。」

「―――それは、スケートをやる上での？」

「そうだね。俺達はリンクの上で演じなければいけない…演じるって事は喜怒哀楽すべてを表現しなければいけないってことだ。」

「そうですね…」

「人生、いつも良い時ばかりじゃない。時には山あり谷あり…すべての運命を受け入れて生きている…」

「なんだか哲学的な…？」

「そうか？」

　シイナさんは、そう言いながら笑った。



*

酷いことしたんです…→←スースー

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す