空に光る星 2

ブブブブブ… ページ18

*



　翌日、羽生君はまた、東京に戻ることになっていた。

　離れることは凄く淋しいけれど今度は違う。

　何も聞かされず一方的に別れを告げられたあの時とは違う。

　今は「約束」と言う確かなものを貰ったから。


〈まだ起きてる？〉

　羽生君と交換したアドレスと電話番号。

　嬉しくてベッドの中に携帯電話を持ち込んで眺めていたところに羽生君からの着信音…

〈起きてるよ…〉

　嬉しくて、たぶん今夜は眠れそうにない。

〈明日の午後、東京に戻ることにしたよ。〉

　分かってはいたけれど、その言葉を突き付けられると淋しい。

「うん。」と打ち込んだあとの言葉を探してみたけれど、どれもウソのような気がして続ける言葉が見つからない。

　行かないで…

　ホントはそう書きこんで送信したい。

　でも――――――

〈うん。〉

　私は、このふた文字だけ書き込み送信ボタンを押した。

「頑張ってね！」と、励ましの言葉さえも送れない薄情な女と思われたかもしれない…

　そう思うと泣きたくなった。

〈離れてても心は繋がってるよ…

　遠く離れてても心はいつも傍にいるよ。

　いつも忘れないでいて…

　ボクはAが大好きだってこと。〉

　もう何もいらない。

　今は、もうこれ以上の言葉は私には必要ない。

　次々に溢れる涙を拭う事もせず携帯電話をギュッと抱きしめた。

「嬉しい」とか「私も大好きだよ」、言葉はたくさんみつかるのに携帯の画面が涙で滲んで
うまく書き込めない。


　ブブブブブ…
　
突然震える電話の着信音は羽生君からだった。



*

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