第十訓 ページ10
「おい主、ここは何処だ？主の住む時代にしちゃあ、古臭くねぇか」
三人は土手のような整備のなっていない道をゆるゆると歩く。
「まぁ、ここは私の生きてる2205年ではないからね」
「いつも通り普通に結界の外へ出たつもりだったんだが」
「どうやら本丸に登録されてから審神者として必要とされる時代まで飛ばされてるみたい。結界の中はいつも通り電波も通っているが、この通りここじゃ圏外だ」
手にした液晶の画面は真っ暗なまま。
電波がないとなれば、明治より前だというのは確かだが、ここが何処かは分からない。
それでも先程からすれ違うものがいるという事は、近くに町があるはずだと歩いているのだ。
「ほら、みえてきた」
ざわざわと人が増えてきたなと思った頃。
目の前には市場のような露店のようなものがずらりと並んでいる。
「これはこれは…面白きとこよ」
「掘り出し物でも探してみるか！」
自分たちの時代でも、Aの呼んだあの時代でもない、彼らにとっては真新しいものと変わらないこの情景を楽しんでいるようだ。
「別に面白くないし、掘り出し物は探さなくていいから。あ、これください」
Aは自由奔放な二人を牽制しつつ目当てのモノを買っていく。
現代では当たり前にあったものがないのは少し不便ではあるが、別段困ることはないだろう。
「…でも卵がないのはなぁ、不便かな。あとドレッシング…は、作ればいいか」
ブツブツと市場を進んでいくAの横で、三日月がクイッとAの袖を引く。
「ん？どうしたの、三日月」
「主、これを見よ。…綺麗じゃないか」
それは簪屋の前。櫛やとんぼ玉、キラキラと色んなものが並んでいた。
ここまでの技術があるということは、江戸後期なのだろうか。ここは。
そんな風に一瞬考え、三日月の言葉に返していないことに気づく。
「…うん、とても綺麗ね」
「きらきらしている。…主の時代とはまた違う、きらきらだな」
片言は片仮名で三日月は笑う。
Aは改めてずらっと並ぶそれらを見る。
江戸ってことは、全部手作りなのかなぁと思いつつ一つの簪に目をつけた。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます！！すごく面白かったです。完結お疲れ様でした！第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (
レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした！とても面白かったです！小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした！ (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか？面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです！宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：稜 | 作成日時：2015年4月10日 14時
