第三八訓 ページ38
こちらはAの指示を待つ刀剣たちに、優しく、ただ振り向かずに声をかける。
「これは、私の人生の最終決戦。誰一人欠けずに、みんなであの家へ帰ろう。…巻き込んで、ごめん」
目を伏せたAを余所に、岩融と向き合った刀剣たちはどこか楽しそうだ。
「はっは!闇へ堕ちた最強の神、こりゃあいいねぇ、驚きすぎて言葉もでねぇよ。…いいかA、俺たちはあんたのためにここへ来た!だからあんたを置いて折れやしねぇ!…だから、あんたも死ぬんじゃねぇぞ!」
「わしゃあ、あまり戦は好きじゃない。…が、あんたの為に、生きる為に戦うとするぜよ」
「ぼくはまだあまりあるじさまのことしらないけど…いまここで、いわとおしをとめなきゃいけないということはわかりますよ…!」
「あたしたちのお姫様を傷つけた恩はきっちり返さないとねぇ!」
「…ええ、借りは返すものです」
「……俺を認めてくれた、唯一の…大切な主に仇なすものは、斬る…!」
「ぬしさまが望むのならば、私は何者であってもこの手で葬るだけです」
「絶対絶対絶対!あんたたちは許さない!主を傷つける奴は、主を泣かせる奴は、ぶっ殺す!」
「いくら経験値最強で唯一の薙刀でも、僕たち相手で無傷でいられると思わないでね?首、落とすから」
Aはそんな声を聞きながらすっと、畳に刺さった小太刀を引き抜く。
女もふわっと、魔法のようなそれで小太刀を手にした。
その小太刀は、Aの守り刀のソレとそっくりな。
…対になる、ものだ。
「まだ、持ってたんだ?あんた」
「出雲守家の家宝だもの。捨てるわけないじゃない。…この双剣は、光と影。どちらが正義か、決めるにはうってつけでしょう」
その家宝となる小太刀。
まだ歴史は浅く付喪神はいない。
けれど確かに二人の思い出であり…否、ここでする話ではないか。
ふと、Aの目の先が揺らぐ。
それは、迷い。
母親との思い出。
それをいま断ち切るには。
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます!!すごく面白かったです。完結お疲れ様でした!第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした!とても面白かったです!小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした! (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか?面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです!宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:稜 | 作成日時:2015年4月10日 14時