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第三一訓 ページ31

「…行けば行くほど私らの神社とそっくりですね」

「そうだな。そっくりとはいえ、迷わずにここまでこれたことも不思議だが」

ここに来るまで、一度も岩融による妨害もなく。
二人の目の前の部屋は鳥居から一番遠くの、とある部屋。

己らの本丸と全く同じ構造のこの神社。
己らの本丸であれば、ここは主、Aの部屋。

「…行きましょうか」

「ああ、そうしよう」

ーーースパァンッ

音を大きく立てて開いた襖のそこには。

「三日月宗近と小狐丸……あの子ったら、私がいない間に随分といい刀を手に入れたのね」

「おや、俺だけじゃ不満か」

「そんなことないわ。…愛してるわよ」

密着した状態で鬱陶しそうにこちらをみつめる彼女と、それを大事そうに抱える岩融の姿であった。

「……先ず、聞きたいことがある」

「私に、よね?」

「ああ、あなただ」

岩融は何も言わずにこちらをみつめている。
三日月と、女はただただ静かに視線を交わす。

「聞きたいことは山程やるが…少なく絞ろうか。
…まず、俺はあんたもあんたの夫だった人も知らんが、何故そいつは死んだのか」

その言葉に、今度は岩融が反応した。

「主の夫などと認めるものか!あの男…出雲守光儀は!最悪な男であった!!!」

「…出雲守…光儀…?」

三日月と小狐はそこで初めて主の苗が出雲守だと、父の名が光儀であると、知る。
そしてまさか、と声をあげた。

「…旦那は、私を愛してはいなかったわ。私たちは審神者同士、見合いで出会ったのだけど…彼の本丸は、ひどいものだったわね。

あの本丸…闇へと落ちたあの本丸。…あなたたちの、元主の」

そう、出雲守光儀。それは、三日月と小狐、一振の元の主の名。
彼の誠の名かは分からないが、それは確かで。

「…何故、知っているのですか。私たちが光儀殿の本丸から来たと」

小狐はどこか寂しそうにそういう。
恨んでいても、憎んでいても。
それは、確かに過ごした人なのだ。

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設定タグ:刀剣乱舞 , 白崎稜 , 三日月宗近   
作品ジャンル:泣ける話
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黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます!!すごく面白かったです。完結お疲れ様でした!第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした!とても面白かったです!小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした! (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか?面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです!宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2015年4月10日 14時

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