第二訓 ページ2
「ようこそ、出雲守殿」
「ええ、はじめまして、安倍さん」
通されたそこは、まさに今風の場所。
高いビルの最上階へ。
「そういば、あなたは既に10口以上の刀剣男子を従えているのでしょう?」
「従えているなんて人聞きが悪いこと言わないでください。家族のようなものなのですから」
「おや、それは失礼したね」
連れてきた清光はビル一階のロビーで待たせていた。
最初は危ないから着いて行く、と言っていた彼を制するとAはそのまま上ってきたのだ。
もし何かあったら自分で対処できる、と言い残して。
「君の友達である刀以外にも数本こちらで用意させて貰ったよ。僕には神が見えないからただの鉄の塊として、だけどね」
「…私の刀達を信用していないの?」
「いやいや、そんな事はない…只、多い方が後々便利ということさ」
―――チンッ
最上階へ着くと、待ってましたとばかりにAの目の前に三本の刀が並ぶ。
「俺の名は三日月宗近。おや、次はこんなにも可愛いらしい女子が主とは…はは、よきかな」
「小狐丸と申します。…ぬしさま、どうぞ末永く」
「私は一期一振。弟達が世話になっているようだね」
安倍は刀の前に出るとAに耳打ちする。
「この刀は所謂ブラック本丸という…審神者が彼らを放棄し、闇へ落ちかけた本丸から助けてきたんだ。
君に押し付けるわけじゃない。ただ、世話をしてやってくれ」
そんな捨て台詞の様なものを聞き、Aは一瞬殺気を感じ、三人に目をやった。
どことなく、こちらを見据える目が冷たいことに気づく。
「…さぁ、挨拶も済んだだろう。早速だが、君の実家であるあの神社を本丸としたい。いいかな?」
「ええ。ご自由に」
手続きを終えると、安倍は三人とAを引き離した。
「…なんですか、安倍さん」
「一つ、注意事項だ」
「…はぁ」
「彼らは人のなりをした、神だ。知っているだろうが迂闊に名前を取られるなよ。名前を知られれば命を取られたも同じ。…君の友達である刀も君の名前は知らないね?」
「…ええ、母に言われていました。その母も名を取られ、神隠しにあってから行方知れずですから。…心得ております」
「特にあの三人は一度堕ちた様なもの。もう二度と捨てられまいと、執着心は凄まじいモノのはず。
深入りしすぎるな。愛を与えるな。ただ、刀として使えばいい」
「……、そろそろ失礼します」
安倍の言葉には答えず、Aは三人の元へ向かった。
589人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黎奈(プロフ) - はじめてコメントさせていただきます!!すごく面白かったです。完結お疲れ様でした!第四訓で宗三左文字が宗山左文字になっていらっしゃるのでご報告させていただきます。あと、ちょこちょこ報告に来るかもしれません… (2015年10月18日 22時) (レス) id: 339ceb4b4b (このIDを非表示/違反報告)
華維璃(プロフ) - お疲れ様でした!とても面白かったです!小説の書き方、参考にさせて頂きます<(_ _)> (2015年9月22日 20時) (レス) id: 5dbf713d35 (このIDを非表示/違反報告)
連合(プロフ) - お疲れ様でした! (2015年7月19日 17時) (レス) id: bbc5de6b90 (このIDを非表示/違反報告)
らい兎(プロフ) - 第三四訓の「突き出ているのは日本の大きな角。」というところもしかして日本→二本でしょうか?面白かったです。 (2015年7月13日 23時) (レス) id: 5d4b050560 (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - お疲れさまでした、面白かったです!宗近のじいちゃんが入手できないのが痛いですね。 (2015年7月10日 19時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:稜 | 作成日時:2015年4月10日 14時