伝えて得たもの ページ6
それからしばらくは下の階級の子達との稽古に勤しんだ。
善逸や炭治郎を次の柱(風柱)のところへ無事送り出し、私は今なお永遠、隊員達と鬼ごっこをしている。
明日の夜にでも実弥のところに行こうかと考えていた矢先、実弥と炭治郎が喧嘩したと聞いた。
私は稽古を終えるなり、屋敷を飛び出して風柱邸へ向かう。
風柱邸に着いたころには日も完全に暮れた夜だった。
『ねぇ、馬鹿なの!?なんで炭治郎と喧嘩したの……』
炭治郎と実弥は上から正式にお叱りを受け、接触禁止命令が出たとか。
だから炭治郎は今もうこの屋敷にいないけれど、実弥の機嫌はすこぶる悪い。
「アイツはこっち側になんて来なくて良かったんだよ」
アイツとは多分玄弥くん。こっち側とは鬼殺隊ということだろう。きっと玄弥くんには普通に幸せになって欲しかったんだね。
『それは玄弥くんのことが大切だからでしょ。大切な人や仲間を失うのはどうしようもなく悲しいし、怖い。けど、それに慣れてしまうのが鬼殺隊だもんね。』
「Aが鬼殺隊の柱であることは認めているが……お前も大切なもんのうちに入ってんだよ。失いたくねェんだよ。」
『実弥のことはずっと大切な幼馴染だと思ってた……だけどね……今は……』
月に照らされた屋根の上で、私はぽつりと言葉を零した。
『好きなの』
実弥はその言葉の数秒後にバッと私の方を見た。
「……は!?」
半年くらい前に、蝶屋敷で実弥が私にキスをした。でもその時は実弥のことが好きなのかどうか自分の気持ちがよく分からなかった。
キスって好きな人にするものなんだったら……実弥はあの時私のことを好きでいてくれたのかなぁ。今はどうなんだろう。
そう考えたらキリがなくて眠れない。それは嫌だから私は本人から聞くしかないと思ったんだ。
『実弥のことが好きになったの。あっ、でも別にね、ほら私達鬼殺隊だから恋人になりたいとか……そんなおこがましいことは考えてないけど……』
「……ッ!半年前のこと覚えてねぇのか?…………俺だって、Aのことが好きだ。ずっと前から
お前が俺のもんになればいいって思ってた……」
暗くて良かった。私は今、顔面から耳まで真っ赤だと思う。
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ゆりなんぽん - あぁもうハラハラします!せめて、夢主だけでも幸せになって! (2020年6月6日 18時) (レス) id: 3ac698d03c (このIDを非表示/違反報告)
日向鬼@低浮上(プロフ) - 好き好き好き好き好き好き好き好き好き((頑張ってください!最後二人には幸せになってもらいたい…!! (2020年6月1日 22時) (レス) id: 98b52071c9 (このIDを非表示/違反報告)
なな - もう!不死川くんキュンキュンしちゃうわ!(蜜璃ちゃん風)実弥の落ちが好きになる…! (2020年4月26日 9時) (レス) id: 0166b3d8d2 (このIDを非表示/違反報告)
なるは。(プロフ) - コメントありがとうございます!個々に返信できなくてすみません……でも本当に応援のコメントが励みになっているんです。もう感謝しかないです……これからもこの作品をよろしくお願いします! (2020年4月23日 19時) (レス) id: 091bffa261 (このIDを非表示/違反報告)
なな - 続編おめでとうございます!!とーってーっも面白いので、応援してます!! (2020年4月20日 14時) (レス) id: 0166b3d8d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なるは。 | 作成日時:2020年4月16日 10時