【企画本編】絶望onステージ!!2nd Stage

4.絶望に花束を ページ39

◆



3年後――



「今日のゲストは+Bouquetのおふたりです！」

音楽番組にて特別ゲストとして紹介されたオレンジ髪の少女と真紅の髪の少女が、画面の向こうで優雅に手をふった。

+Bouquetは2人組のアイドルユニットで、大人っぽくディープな雰囲気が幅広い世代から支持を得ている。メジャーデビューを果たし、近頃は音楽番組やCM出演など地上波で見かけることも増えた。

「デビューから3年ということで、おめでとうございます！そして、元は地下アイドルだったそうで」

「ありがとうございます！はい、9人で活動していました。訳あって今はここにいないんですが、彼女たちの思いも背負って来ています」

その訳を知る数名の出演者は神妙そうに視線を落とす。湿っぽい空気を寄せ付けないようにするためか、司会者は次の話題へと足早に進めた。


「それじゃあ、+Bouquetというユニット名の由来を聞かせてもらえますか？」

「元々はバラバラな花びらだった私達ですが、それがまとまって綺麗な花束になれたらいいな、という願いを込めています。+というのはファンの皆さんも一緒にという意味です」

「なるほどー、ではさっそく新曲の方を披露していただきましょう！」


先ほどまで、にこやかに受け答えをしていた様子とは打って変わって、真剣な面持ちでステージに立った2人は別人のように思えた。

崎宮未来の表現力に溢れたダンス、松ヶ谷紅愛の他にはない華やかさ。堂々たるパフォーマンスを魅せた+Bouquetに、瞬く間に観客の心は掴まれた。

パフォーマンスを無事に終えて、2人が見せた笑顔はアイドルらしく可愛らしいものであったが、どこか仄暗いものが感じられた。





+Bouquetはその後も躍進を続け、後には女優としても大成する。

それでも、その背中には7人分の十字架が背負われたままだ。


この絶望を乗り越えた先には何があるのだろうか。
いや、乗り越えることなど、できないのかもしれない。


それぞれの思いを抱えたまま、2人はこれからもステージに立ち続ける。





【崎宮未来ノ裏】

【松ヶ谷紅愛ノ裏】

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