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得票数であろう数字が桁を増やしていくのを、しばらく唖然として見ていた。
これだけは、知られてはいけなかった。
焦りと恐怖で息が上手くできない。
『順調に投票されてるねー、どうなるか楽しみだなあ!……それじゃあ、次はキミたちの番だよ!』
スクリーンに表示されていた数字の部分だけが消えた。
結果を見せないつもりなのだろう。
『さっきはああ言ったけど、キミたちにも投票権はあるよ。せっかくだから、キミらの1票を視聴者の2票分としよう!』
『視聴者とキミたちの投票期限はどちらも2時間後。それまでの間、じっくり考えるなり、本人に話を聞くなり、好きにするといいさ』
スクリーンにはそれぞれの秘密が書かれた文章が映し出されたままだ。
互いの様子を伺うような、気まずい空気がしばらく流れる。
「私の文章は本当よ」
最初に口を開いたのは紅愛だった。
―松ヶ谷紅愛は、女優になるための踏み台としてアイドルをしている―
「私はずっと女優になりたかった。そのためにアカデミーに通ったりもしていたわ。……アイドルを始めたのは女優への近道になると思ったから。今も女優になりたいという気持ちに変わりはない。……でも、+Petalに入って、皆と出会って、すごく楽しかったし、アイドルを辞めたくないとも思うようになった」
伏し目がちに呟いた。
「皆の気持ちを裏切るようなことをして申し訳なく思うわ」
「ころあ……いや、私のも本当だよ」
もう、隠していたってしょうがない。
本当のことを言ったら、どんな顔されるかな。
―三々神心愛は、優等生であることを意図的に隠している―
「アイドルの三々神心愛が、おバカなのも、天然なのも、甘えん坊なのも、ぜーんぶ嘘。ずっと演じてたの。……でもね、皆のことが大好きなのは本当だよ」
正直に言った。最後のも、もちろん本音だった。
おそるおそる皆の表情を窺うと、驚いたような顔をしていた。
ああ、皆に知られてしまった。
嘘で形づくられたアイドルの仮面がポロポロと崩れ落ちる。
――もう、アイドルではいられないなあ……。
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みらーぼーる(プロフ) - 花乃子さん» そうでしたか…💦ありがとうございました🙏 (5月14日 16時) (レス) id: 86351c9672 (このIDを非表示/違反報告)
花乃子(プロフ) - みらーぼーるさん» 公開していたのですが、恥ずかしいので現在は参加者様のみの閲覧に限定させて頂いてます🙏🏻ごめんなさい💦 (5月14日 16時) (レス) id: b739fbefbf (このIDを非表示/違反報告)
みらーぼーる(プロフ) - コメント失礼します!「絶ステ本編・あとがき」を公開する日にちはいつですか?公開する予定はありますか?🤔 (5月14日 16時) (レス) id: 86351c9672 (このIDを非表示/違反報告)
花乃子(プロフ) - 救世主さん» ありがとうございます✨キャラクターは他の方に作って頂いた子達で、素敵なキャラクターばかりだったので本編執筆が捗りました! (5月14日 13時) (レス) id: b739fbefbf (このIDを非表示/違反報告)
救世主(プロフ) - 完結おめでとうございます🥳🎉キャラクターがそれぞれ個性的なのが魅力だと思います👍1人1人に裏の面があったり、設定がしっかりしていて飽きずにずっと楽しく読ませていただきました!とっても面白かったです💗🥰 (2023年5月13日 1時) (レス) @page39 id: 0bbfc75c53 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花乃子 | 作成日時:2023年3月31日 22時