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「キ、ヨ…くん、」
「魘されてた。大丈夫？」
目が覚めたばかりで何が起きたのかわからないと言ったような表情だった彼女も、安心させるように手をぎゅうと握って言えば段々と落ち着きを取り戻した。
「怖い夢見た？」
「うん……」
しばらくぼんやりと、見ていた夢を思い出すかのように虚空を見つめていた彼女だが、ぽつりぽつりと夢の内容を話し始める。
「……夢の中で、ずっと「誰か助けて」って心の中で叫んでたの…そうしたら、ね…キヨくんが、助けてくれた」
ありがとう、と笑いかける彼女を見て
無意識に俺は彼女を自身の腕の中に閉じ込めていた。
驚いた彼女はもぞもぞも動き、俺と顔を合わせる。
「Aさん…俺が、絶対に、守るから」
言うな言うな、今じゃ無い。と、頭のどこかでもう1人の俺が止めているがもう無理だ。
持ち切れないほど沢山の気持ちは、いつか溢れてこぼれてしまう。
「好きだ。」
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作者名：なちこ | 作成日時：2021年3月2日 4時
