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---side K
俺が風呂から上がってリビングに戻るとAさんはソファに横になって規則正しい寝息を立てていた。
初めて見る寝顔に見惚れてしまったが、今日の出来事を振り返れば寝てしまうのも無理はない。疲れていたんだろう
なんなら今日だけじゃなく、ずっと気を張っていたのかもしれない。
起こすのも可哀想だと思い、俺は自分の部屋から毛布を持ってきてAさんにかけてやる。
別室からパソコンをリビングに持ってきて、俺もリビングで編集作業を始めた。
「………う、っ」
1時間経ったか経たないかくらいの頃、それまですやすやと寝息を立てていたAさんが声を上げた。
寝言か?と様子を見るがその表情は苦しそうで眉間に皺が寄っていた。
起こすべきか?でも疲れているなら寝かせてあげたいという気持ちもあり、様子を見る
「……た、すけ……だれ、、か」
いやいやと首を振りながら魘され続け、とうとうその閉じられた瞳から涙が溢れた。
その姿を見て俺は考えるよりも先に彼女の名前を呼んでいた。
「Aさん!…Aさん!」
名前を呼び、彼女の体を揺らす。
何度目かの呼びかけに答えるように、彼女は声にならない悲鳴を上げて目を覚ました。
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作者名:なちこ | 作成日時:2021年3月2日 4時